友人の実体験の話です。
ある日友人が他の友人たち計三人で電車で出かけた時にそれは起きました。
電車に三人で座っていると同じ列の席に自分たちより少し離れた場所に座るおばさんがいました。
おばさんは何やらひたすら独り言を呟いては怒っている様子。あまつ、その怒りの対象は友人たちらしいのです。
とりあえず気づかないふりをしつつ目的の駅で降りるとおばさんも降りてくる。
しかも付いてくる。
そしてやっぱり怒ってる。
さすがに本格的に怖くなってきた友人は走って逃げ出せば当たり前のように追いかけられたそうです。
逃げる友人。
追うおばさん。
しばらく逃げてる途中で横断歩道の赤信号にぶつかってしまい、最前列で信号が変わるのを待っていれば、さっきのおばさんが友人の背後にぴたりとくっついて
「進め!進め!進まないと……押すわよ?」
とか言い出すものだから焦る友人。
目の前には車が通過しているので押されれば確実に轢かれます。
やばい、早く信号変われ!
と友人が思ったその時、おばさんがいきなり目の前に周り込んできて、
「敬礼ーっ!!!!」
と言って右手を掲げて敬礼をしたそうです。
友人は
(笑っちゃだめだ!敬礼しちゃだめだ!)
と必死に何かに耐え、信号が変わった途端に駅近くにある交番へダッシュ。
が、先回りしたおばさんが先に婦警さんに友人たちの悪口を言ったらしく、婦警さんが
「あなたたちあの人に何かしたの?」
「いえ、私たち本当に何もしてないのに勝手に追いかけてくるんです!」
「じゃあ、あの人がおかしいのね。私が引き留めておくから早く逃げちゃいなさい」
というありがたい言葉に逃げようとすれば、それを目ざとく見つけたおばさんがまたもや追いかけてきて歩道橋の上から友人たちへ満面の笑顔を浮かべて手を振ってきたそうです。
後日。
そのおばさんが実は友人と同じ駅に住んでることが最近わかったそうです。
終わり。
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