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イチジ九

すべからくどうしようもない日常のあれこれ。 ネタバレ盛り沢山ですので注意!

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つい

アイスが食べたくなってでも安くて小さいのをたくさん買うより、でかいのを1個買った方がよくね?って考えたら1000mlのアイスをお買い上げしてました。久しぶりに思い切ったことをしてしまいました・・・
しかし誰もが一度は好きなだけアイスを食べることを夢見たと思うんですよね!昔ビエネッタというアイスが大好きで、でもいつも一切れくらいしか食べられなくてもっと食べたい!と地団太を踏み、おとなになってようやくその願いを叶えるために1箱買って気合いとともに取り掛かったものの半分も食べれないのでありました。母上はいつだって正しいかったのだよ・・・ヾ(:3ノシヾ)ノシ
なのでこのアイスも自重しながら食べようと思います。どっかの桜井さんちの弟は一日で半分くらい食べそうですが!そのあとお腹壊して兄とバンビに怒られればいいと思います。桜井兄弟とバンビかわいい。幼馴染かわいい。アイス食べたい!

ではでは雷がすごいのでPC落とします。お疲れ様でした。

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PQ!


またもや友人が予告もなしに誕プレを送ってきてくださいました。
楽天からのお届けだったので最近何か頼んだっけ?となって開封したらば初回特典のキタローと目が合って、その下にソフトが入っていて、さらにその下にラッピング用の袋が下敷きになってた上に何も書いてないカードが同封されていたのでさすがに突込みを入れるべく即座に電話しました。
ラッピングとは、と包装の根本について考えさせられつつPQプレイしたいなーとそわそわしてたので純粋に嬉しいので!がんばってプレイしたい!
ただ、すでにプレイ済の友人たちから不穏な会話がそこここでささやかれてるのが怖いんですけども!!

しかし今、私は目下Fateをプレイ中なのでありました・・・一人のルートがものすごい長い上にBADEND多すぎるよ!全然終わらないよ!
あとうっかりdアニメにHAUNTEDじゃんくしょんがあることに気がついてしまって勢いで登録してしまったんですが、そこにFateZeroもあるのであとで見たい。最終回に金髪の彼が素っ裸になった話しか見てないのでさっぱりなのです。
ゲームと仕事と遊びに行くのと原稿する自分で合計4人くらいほしい。それでシフト組みたい。

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ほうじ茶+拍手レス

手持ちの紅茶をすべて飲み切って残っているのが緑茶だけになってしまったんですが、緑茶の気分ではないんだ!ということで急遽飲み始めたほうじ茶がじわじわマイブームになっています。
今まではすでにほうじ茶用になっているお茶しか買ったことしかなかったんですが、緑茶を自宅で焙じて淹れたはより香ばしい気がする!
何より焙じてるときのお茶のにおいが好きです。すごい煙が出るけど。換気扇回さないと完全にだめなやつだけど。
そんなわけで1パックほど手をつけていない緑茶と、中途半端に開封されていたものが放置されていたのでこれらすべてをほうじ茶にして飲み干そうと思います。
この間珍しくカフェラテが飲みたい!って思い立って作ったんですが、半分も飲まないところで飽きてしまった事案が発生したので、お茶派の人間は大人しくお茶を摂取しようと思います。お茶なら冷めてもおいしく飲めるのにどうしてコーヒーは飽きてしまうのだろうか…ブラックでもカフェオレでも飽きちゃう・・・スタバとかのはすでに飲み物っていうよりデザート感覚だから全部飲める。根本的にコーヒーと相性が良くないのかな!ごめんな佐伯!

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以下拍手レス

7月13日、14日
アオニレさま>
イカそうめんが食べたくなるほどのイカラッシュだと思ったら夕飯にイカの刺身が登場しました。これがアオニレさんのイカ効果でしょうか!(違う)
久しぶりないかがわしい場面と向き合ってるのでうんうんと唸り声をあげているので突然朝チュンになっているというパターンとか!どうですか!
日本語の難しさと佐伯のDTっぷりと戦いながらがんばります。コメントいつもありがとうございます!!

その他ノーコメ、レス不要等ありがとうございます!

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テルプラス3



 おかえりなさいませと従業員の女性に出迎えられれば、改めて旅館内の施設の説明を受ける。特に大浴場のローマ風呂を初めとした数種類の温泉、家族風呂や展望台に設置された露天風呂等々と話を聞くだけで先ほど目の当たりにした秘宝館でのナニでアレの気まずさをうっかり忘れてしまうほどに魅力的だった。そうして部屋の鍵を受け取り、数種類ある浴衣を選んでいた頃にはすっかり浮足立っていたのだ。浴衣姿の宿泊客とすれ違っては、どこのお風呂から入ろうかなんて呑気に考えている間に客室へと到着。レトロなキーホルダーがついた鍵を使って部屋を開けると、ドアを手前に引く。ひょいと室内を覗き込んで、そして、
「……」
「……」
 瑛とあかり、二人揃って黙り込む。
 というのも、戻ってくるのが夕飯前だとわかっていたからか、すでに部屋には二組の布団が並んで敷かれていたのだ。否、宿泊人数が瑛とあかりの二人なのだから、二組の布団が敷かれているのは当然と言えば当然なのだ。ついでに今回は「日帰りのデート」ではなく、「宿泊する旅行」なのだということを今更のようにあかりは気が付いた。まるで古いロボットか何かのように、ぎぎ、とぎこちなく首を動かして、瑛へと視線を向ける。すると瑛は眉間にしわを寄せていて、けれどいつものようにあかりにチョップを下ろしてきた。
「ほら、とりあえず着替えよう。こんなところに突っ立っててもしょうがないだろ」
「あ、うん」
 促されて、不自然なぎこちなさは継続したまま室内に入る。さっきまであれこれと着るのを楽しみに抱えていた浴衣を、しかし今は藁に縋るように抱きしめる。うろうろと所在なげに室内を見渡して、そうして布団が視界に入るたびにさっと目を逸らしてしまう。ええと、と口の中で呻く。
「浴衣、内風呂の脱衣所で着替えたいいんじゃないか? 鍵掛ければ問題ないだろ?」
「そ、そうだね! そうするね!」
 不自然さ全開で頷くと、あかりは逃げるように脱衣所へと飛び込んだ。ドアを閉めて鍵を掛けて、すうと息を吸う。次にその息を吐き出すのと一緒に、思わずその場にへたり込んでしまった。
(……どう、しよう)
 内心で呟いて、頭を抱える。
 瑛と一緒に旅行に行けることにばかり浮かれて、「二人で泊まる」ということの意味を完全にすっぽ抜けていた。我ながら間抜けだとは思うが、なまじ瑛とは珊瑚礁が閉店したクリスマスのあの夜を共に過ごしたことがあるだけに、変なところで男女間の意識が薄くなっていた。
 けれどあのときと今では、瑛との関係は変わっている。
 卒業式の日のあの灯台から、二人は友達から恋人になった。
 そんな今更のことを、「恋人」として二か月も過ごしてからようやく、改めて痛感させられた。
 友達ではないのだから、恋人なのだから、その先のことがあるに決まっているではないか。
 そうして、ふいに今日見た秘宝館の出入り口にでんと鎮座していた「アレのナニ」を思い出してしまった。
(ワアアアアアアアアアアアアアアアア!!)
 思わず叫びだしたいを堪えて、代わりに心の中で盛大に叫び散らす。ごろごろと床を転がりたい衝動の代わりに頭を抱えて、もうどこから突っ込んでいいのかもどうしたらいいのかもわからない。ただ、ずっとこのまま脱衣所に籠城してるわけにもいかない。
 あかりは観念して浴衣に着替えて脱衣所から顔を出すと、瑛はすっかり着替えて終えて部屋に備え付けの緑茶を淹れているところだった。
「お待たせ、しました」
「ん」
 短く頷いて、彼はあかりの分のお茶も淹れてくれた。微妙な距離を取りつつ瑛の隣に座れば、妙に重圧が掛かったような湯呑を両手で包むようにして持ち上げる。
「風呂さ」
「ハイッ」
「どうする? もう行く?」
「あ、えっと……どうしようか?」
「夕飯まで少し時間あるだろ。今日は早起きしたし、先に風呂に入っちゃった方がいいと思うんだけど」
「そ、そうだね」
「あのさ」
「ハイッ」
 びし! と二度目の威勢の良い返事に、瑛は困ったように眉を寄せた。ここまであからさまな態度を取っていれば、さすがにこちらの考えは相手に筒抜けも良いところだろう。だからこそ彼はわざとらしい咳払いを一つして、あのさ、ともう一度同じ言葉を繰り返した。
「俺は、おまえが嫌がることはしないし」
「……」
「それにな、こういうことをおまえが全ッ然考えてないこともわかってたから」
 「全然」のところをものすごく気持ちと力を込めて言われてしまい、反射的に「そんなことない」と言おうとして、けれどまったくもってその通りなので結局は口を紡ぐ。
 持っていた湯呑をぎゅっと握り、俯く。
「……ごめんなさい」
 ぽつんと、呟く。いくらなんでも軽率過ぎたと後悔するなんて、今更すぎるほどに今更だ。思い返せば瑛は「そういうこと」への配慮をそれとなく促してくれていたいうのに。
「いいから。そんな落ち込むことじゃない」
 ぽんぽんと、瑛の手があかりの頭を撫でる。なんと言葉を返していいのかわからずに視線を上げれずにいれば、ほら、と瑛の声が続く。
「風呂に行こう。楽しみにしてたんだろ?」
「……うん」
「カピバラはカピバラらしく温泉に浸かるんだぞ。お父さん、そこまで面倒見れないからな」
「もう! 瑛くん!」
 思わず、勢いで顔を上げてしまった。ら、おかしそうに笑っている瑛と目が合って、けれども気まずさを持て余すよりも先に、行くぞと間髪入れずに相手が立ちあがってしまった。なのであかりも自然にその後を追っては、念願のローマ風呂へと向かったのだ。

 ホームページで見た写真よりも迫力のあるローマ風呂を堪能したあとは、部屋に戻ったところでタイミングよく夕飯の準備が始まるところだった。THE・旅館料理、というラインナップの夕飯は更に旅行気分を盛り上げてくれて、いつもよりも食べ過ぎてしまった感は否めない。
 そうして気まずさはだいぶ薄れ、あれこれと他愛無い会話を問題なくできほどに落ち着いていた。けれどその間にも時計の針は進んで行き、日付が変わりそうなった頃にはうつらうつらと眠気が手を振ってきた。
「そろそろ寝るか」
「…ん」
 促されるままに頷いて、ふわあっとあくびを一つ。けれど意識を布団へと向けたところで、忘れていた緊張を思い出した。しかしそんなあかりとは裏腹に、瑛はさっさと身支度を整えて寝る準備に取り掛かっている。
「あかり、電気はどうする? 全部消すか?」
「よ、よろしくお願いします」
 はいはいという適当な返事のあと、あかりの希望通りに室内の電気が消された。真っ暗になった室内で、隣の布団に入る瑛の物音がやけに大きく聞こえる。
「…瑛くん、おやすみなさい」
「おやすみ」
 なんとなく気まずくて、瑛から背を向ける。さっきまでは眠くて仕方がなかったはずなのに、いざ眠ろうしたら眠気はどこかにすっ飛んでしまった。どきどきどき、とすっかり落ち着いたはずの鼓動がまた速くなる。胸を押さえて少しでもおさまれと念じてみるものの、その効果はまったく効果は発揮されなかった。逆にどんどん目が冴えていく気がして、もぞり、と身じろぐ。身体の体勢を仰向けに変えると、薄暗い天井を見上げてみる。少しだけ暗闇に目が慣れて、うっすらとならば隣にいる瑛の姿くらいは確認することができた。瑛は先ほどのあかりと同じように、こちらへ背を向けるようにして寝ている。
「……」
 手を伸ばせば届く距離に瑛がいるのに、向けられているのが背中というのが、ひどく寂しい気持ちになった。
(瑛くん)
 胸中で名前を呼んで、ぎゅっと布団の端を掴む。
 ここで、もし、手を伸ばして瑛に触れたならば、きっと後戻りができないのはさすがのあかりにもわかった。
 そもそも瑛は、最初からそのつもりだったのかもしれない。けれどあかりの準備が整っていないとわかったから、強引に求めては来ないのだ。思えば、今日は手を握る以上のことを彼はしてこない。それはきっと、瑛なりの自制心の賜物によるものだろう。
 布団から手を離し、瑛ではなく、瑛の布団に触れる。
 どうしようと、心に迷いはまだ、ある。
 どうしようと、何度も繰り返す。
 どうしようと、戸惑って、でも、それでも。
「……瑛、くん」
 ちいさく、頼りなげに、あかりは瑛の名前を呼ぶ。ぎゅっと布団を握って、心臓はもう、どうしようもなく早鐘を打つ。
 数秒の間のあと、なぜか呆れたような溜息が聞こえた。
「……いい子はもう寝る時間だろ」
「子供じゃ、ないもん」
「今なら、まだ子供扱いしてやれるんだぞ」
「……わかってる。わかってて、わたし」
 と、それ以上は言葉に詰まり、なんて続けていいのか悩んでしまう。けれどその間に瑛が上半身を起こして、あかりを見下ろしてきた。あーと低く唸ったあと、彼がこちらへと身を寄せる。寝た状態のまま動けないあかりの横顔に、とん、と瑛の手が置かれた。この暗闇でも表情がわかるほど、顔が近づけられる。
「いいのか」
 確認。
 きっと、これが最後だ。
 ここで拒否すれば、瑛は引いてくれるだろう。
 そういう優しい人だと、あかりは知っている。知っているからこそ、あかりはその優しさに甘えていた。だからこそ、逃げたくないと思った。
「いいよ」
 言ってしまったと、身体が無意識に強張る。
 心臓の鼓動が、耳にうるさい。実は耳のすぐそばに心臓があるんじゃないかと思うほどだ。
「あかり」
 名前を呼ばれて、瑛の顔が近づく。彼の髪が顔を掠めて、くすぐったい。掛け布団が避けられて、彼の手が浴衣の上からあかりの腕を滑るように撫でた。まるで確認するように手を握り、もう片方の手でこちらの頬に触れる。
「……なるべく、痛くないように努力する」
 ぼそりと、瑛は言う。その言い方と、言葉に彼からも同じような緊張が伝わってくる。
「……お願いします」
 同じように、あかりもぼそりと呟いた。なんて返すのが正解だなんてわからなくて、しかしそれは瑛も同じなのだろう。お互いのいっぱいいっぱいな空気を張りつめさせたまま、瑛の唇があかりの唇へそろそろと触れた。ふに、と柔らかい感触を受け止めて、けれどそれが妙におかしくて。そうして初めて瑛とキスをしたときのことを思い出した。
 それは卒業式の灯台でもなく、羽ヶ崎に入学したばかりの事故でもなく、もっとうんと幼いあの日のことだ。
 泣いている幼いあかりに、同じく幼い瑛はもう一度会えるようにとキスをしてくれた。
「あかり」
 唇を重ねたまま、名前を呼ばれる。眼の前にいる瑛はあの日の男の子のような幼さはすでになく、けれどもそれとは別の面影は確かに残っていた。


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割と昨日カッとなって書き上げててちょっと手直ししたんですけども本当の戦いはこれからだ!!!!!!!!!!!!!!

いかがわしい表現ってなんか頭と体力使うよねヾ(:3ノシヾ)ノシ
むしろいかがわしいのがいかがわしくなってるのかいつも不安ヾ(:3ノシヾ)ノシ

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テルプラス2


 熱海に到着してすぐに駅前のロータリーでタクシーを捕まえると、二人は荷物を降ろすべく宿泊予定の旅館へと向かった。
「わあ」
 旅館の手前でタクシーを降りたあかりは、外観を眺めて眼を輝かせる。昨今の流行りのおしゃれな旅館ではなく、どこか懐かしい雰囲気を漂わせる旅館だった。子供の頃の家族旅行で訪れたそれに似た佇まいに、あかりのテンションはうなぎ登りだ。思わず小走りで入口まで向かうと、すかさず背後からは「転ぶぞ」なんて、それこそ昔の父親のような忠告が飛んできた。
 あかりは入口の手前で立ち止まり、少し遅れてやってくる瑛を待つ。そうして二人揃って入口をくぐれば、いらっしゃいませと着物姿の女性に出迎えられる。
「ええと、今日と明日の一泊二日で予約した佐伯ですが」
「佐伯様ですね。…はい、お部屋のご用意が出来ております」
「荷物だけ預かっていただけますか? 部屋には観光から戻ってきてからで」
「畏まりました。では、お荷物をお預かりします」
「お願いします。ほら、あかりも」
「あ、うん。お願いします」
 つと、瑛の視線がこちらに向けられて、あかりはハッと我に返った。旅行用の大きなカバンを渡したあとは、笑顔の従業員の方たちに見送られて再び熱海の街へと戻る。さきほどはタクシーを使ったが、駅から旅館までの距離がそこまで離れていないのがわかったのと、せっかくだからと歩いて散策することにした。
「海だね、瑛くん」
「はばたき市にも海くらいあるだろ」
「そうだけど。はばたき市とはまた違うっていうか」
 むっと抗議の視線を送れば、はいはいといつものように流す瑛。それでも瑛の視線は海へと向けられ、5月でもサーフィンも楽しむ人たちをどこか羨ましげに見つめていた。
「……天邪鬼」
「何か言ったか?」
「おなか空いたなって言いました」
「おまえな」
 あっさりと自分の言葉を撤回してチョップの制裁を逃れてみれば、予想通り瑛は呆れたような仕草を見せた。けれどチョップを繰り出すと予想していた手はそれを裏切り、代わりにこちらの手を握ってきた。つまり、手を繋いでいる状態になる。
「……瑛くん?」
「なに?」
「いや、別に、なんでも」
「嫌なら離すけど」
「い、いやじゃない! 全然! 全然いやじゃない!」
「よし」
 なんて、なぜか瑛の方が偉そうにしたあと、それが照れ隠しなのだと察してしまった。ら、よりその照れは隠されずにあかりにも伝染する。
 休日に二人、手を繋いで歩くなんて何度もしてきたことで。けれど今日はそれがひどく新鮮な気持ちになるのは、旅行という気持ちの高揚が大きく作用してるいるのだろうか。
「…お昼、何食べようか」
 あかりはようやくそれだけを言うと、そうだなと瑛が返す。そのあとはまた黙り込んでしまって、けれどその沈黙が嫌なわけではなく。
 きゅっと瑛の手を握れば、瑛も同じように握り返してくれた。


「ねえ、瑛くん。恋人たちの聖地だって!」
「……」
 お昼を済ませて腹が満たされたからか、あかりはテンション高く観光名所を回り始めた。
 瑛もあかりも熱海には来たことがないということで、ならばオーソドックスな観光地を回ろうということに決定したのだ。事前にいくつか候補をあげてはいたのだが、地理的なものを改めて調べてみれば、駅から二人の宿泊する旅館の間に有名所が集まっていたのと、唯一一番離れている伊豆山神社だけは明日に行くことで話は纏まった。――のだが。
「てーるくーん!」
 にこにことあかりが機嫌よく手招きするものの、瑛はある一定の場所からこっち、距離を詰めてこない。渋い顔であかりを見つめて、ジーンズのポケットに手を突っ込んでいる。そして、
「……次に移動しないか」
「今来たばっかりでしょ。ほら、観念して」
 カムカムと手招きをすれば、ようやく瑛は諦めたように保っていた距離を詰めてきた。けれどもそわそわと落ち着かなげに周囲を伺ったあと、「恋人の聖地」とはっきり表記されたプレートからさっと目を背けた。
「ねえ、瑛くん。この手形って二人で使うんだよね? 恋人って書いてあるし」
 プレートの上に設置された大きさの違う手形を指して、あかりは問う。すると瑛はちらりと一瞬だけ視線を寄越したあと、再び明後日の方向へ逸らして「そうじゃないのか」とだけ返してきた。
「でも、これって普通に置いたら背中合わせになっちゃうよね? 変じゃない?」
 手形の大きさからいって、女性は右手を男性は左手を置くように作られていた。あかりはうーんと考え込むと、痺れを切らした瑛が思わず、というように呟いた。
「向かい合って、手を交差させるんじゃないのか?」
「…あ!」
「やらないからな」
 あかりの考えを先読みしてか、すぐさま却下が下る。
 「えー」と無駄な抵抗をしてみるも、「やらないからな」ともう一度念を押されてしまったのでこれ以上はチョップを覚悟しなければいけない。今日明日と一緒にいるのだから、できるだけチョップは回避したい。あかりとしては次の場所へ移動することでこの場を収めた。
 そうして次に向かったのは熱海城。ロープウェイを使って昇り、はばたき城とはまた違った趣の場内を堪能した。天守閣には「愛の岬」なるものがあって、想像していたよりも熱海という場所は恋人向けのスポットが多い。当然のようにここでも瑛は居ずらそうに視線を彷徨わせていたけれど。
 けれど熱海城を後にし、帰りのロープウェイの乗り場ではさすがのあかりも気まずさに固まってしまった。熱海と言えば秘宝館という建物が有名で、なんとなくその存在は知ってはいたがまさか出入り口であからさまな男女関係の象徴たるものがでんと鎮座しているとは思いもよらなかったのだ。一瞬何かわからず、けれどそれが「ナニ」かだと理解して瑛を振り返ることなど出来ず、されど妙に早足になることもできず。そしてそれは瑛も同じで、帰りのロープウェイは不自然に口を閉ざしてしまった。
 しかし今となればこれがフラグだったのかと、あかりは思い知らされることになる。

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