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イチジ九

すべからくどうしようもない日常のあれこれ。 ネタバレ盛り沢山ですので注意!

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書こうと思って挫折した翔春小ネタ

うたプリは結局どはまりすることはなかったんですが、翔ちゃんはすごくかっこよくて男前できゅんきゅんしていたので、そんなかっこいい翔ちゃんと春ちゃんがいちゃいちゃしてればいいんじゃないの!とか色々妄想したけど挫折した小話っていうより小ネタ。

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 彼の指先は、いつだって黒のマニキュアできれいに染められていた。
 それが羨ましくて、お揃いで同じ色に染めたいと提案しすれば、「おまえはこっち」と、ピンク色のマニキュアを与えられた。
 人生初のマニキュアを前に、春歌は目をきらきらさせて「ありがとうございます!」と言ったのはいいものの、中々うまく爪の上に色を乗せることができない。最初は筆にマニキュアをつけすぎてぼってりとしてしまうし、かと言って控えめを心がけようとすれば掠れてまだらな塗り斑が出来てしまった。ついでにいえば、細い筆がガタガタ揺れて、爪からはみ出しまくっている。翔のように、均一にきっちり色を乗せることなど夢のようだと途方に暮れたところで、見かねた翔が貸してみろと春歌の手からピンクのマニキュアを引ったくった。
「ほら、手、出せよ」
「…すいません」
「気にすんなよ、俺も最初はすげーヘタくそだったし」
「本当ですか?」
「おうよ。だから、おまえもうまく塗れるようになる」
「頑張ります!」
 にかっと笑う翔に、春歌は気合いを入れて返事を返す。その意気だと笑う翔に、どきりと心臓が強く鼓動を打った。
 そうして翔はピンク色のマニキュアの筆は丁寧に扱いて、まずは春歌の右手を取る。親指から始まり、人差し指、中指、薬指に小指と、一本一本丁寧に塗っていく。そうして右手が終われば、今度は左手だ。こちらも右手同様、同じように色を乗せていく。翔はほんの少しだけ目を細め、真剣に春歌の指先を真剣に見つめている。
 徐々に彼の選んだピンク色に染まっていく指先を眺めながら、春歌はあることに気が付いた。
 今。
 まさに、今、この瞬間。
 翔の思考のすべてが自分に向いているということを自覚してしまえば、身体中を恥ずかしいような嬉しいようななんともいえない感覚が駆け抜けていった。しかも塗られているマニキュアは翔が選んでくれたもので、なんだか彼色に染められているような、そんな馬鹿なことまで考え出してしまう始末だ。
(…ど、どうし、どうしましょう!)
 激しく内心で動揺するものの、こんなにも真剣な翔の手を振り払うことなどできるはずもなく。
 あと二本の指にマニキュアが塗られるまでの時間が、まるで永遠に続くかのように長く長く感じたのであった。

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