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イチジ九

すべからくどうしようもない日常のあれこれ。 ネタバレ盛り沢山ですので注意!

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【モバマス】黒川小話

もうバレンタインなんてとっくに終わったというのにバレンタイン小話。しかもモバマス。あまつ黒川。
イベントに乗っかりきらないことに定評のある私です。
黒川かわいいよ黒川

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 バレンタインに使われる大義名分はいくらでもある。
 ショッピングモールに特設会場として設置されているバレンタインコーナーにて、安さが売りのかわいらしいものから有名ショコラティエが手掛けたブランドもののチョコレートたちを選別しながら、黒川千秋は目に付いた包装されたチョコレートを手に取った。
 彼女が渡そうと考えている相手は、自分が所属している事務所のプロデューサーだ。いつもお世話になっていますと、社交辞令と人間関係円滑のためにチョコレートを贈るのはもはや恒例行事となっている。バレンタインに託けたお菓子会社の陰謀はすでに多岐に渡って様々な変化を遂げており、たかだか自分一人のチョコレートの存在が相手に大きな影響を及ぼすとは思えなかった。
(問題なのは)
 胸中で独りごちて、黒川はため息をつく。何が問題がなのか、そんなことはとっくにわかりきっている。チョコレートの値段も大きさも装丁も関係なく、一番重要なのは、そのチョコレートに込められた意味だ。
 けれど、
(好き、なんて)
 言えるはずがない。
 彼が自分を大事にしてくれるのは、プロダクションに所属しているアイドルの一人に過ぎないから。そうして黒川自身も所属しているアイドルたちを分け隔てなく大事に、大切に接してくれる彼だからこそ、好きになった。
 そうしてこの感情が、彼を困られせるだけになるのは目に見えているから、自己満足で彼への気持ちを誤魔化すためにバレンタインというイベントを利用しようとしているのだ。
 それにきっと、自分以外の事務所の皆は彼にチョコレートを渡すに決まっている。それなら沢山用意されたチョコレートの中に隠された自分の本命の気持ちは、紛れて伝わることはない。
 それでいいと黒川は諦めたように自身へと言い聞かせ、最初に手にしたチョコレートをレジに持っていった。平日の真昼間という時間のせいか、会計はスムーズに終わらせることができた。かわいらしいラッピングにかわいらしいショップバッグを片手に、黒川はそのまま事務所へと向かおうとしたところで、ふいに携帯電話が着信を告げた。コートのポケットで震えるそれを取り出しみれば、ディスプレイにはプロデューサーである彼の名前が表示されている。え、と我が目を疑いつつも、平静を保つように通話ボタンを押す。
「…もしもし?」
『ああ、黒川。今どこにいる?』
「事務所の近くのショッピングモールだけど」
『よかった、やっぱり黒川か』
「え?」
『後ろ後ろ』
 言われるままに背後を振り向けば、そこにはいつものスーツ姿の彼が携帯電話を耳に当てながら、ひらひらと手を振っていた。その姿を見た途端、一気に身体の中の体温が急上昇する。そうして左手に持ったショップバックの中身を思い出し、咄嗟に後ろ手に隠してしまう。そんな黒川の心境を知るはずもない相手は、やっぱりいつもの呑気な笑顔を浮かべていた。
「そう言えば、今日は休みだったっけ」
「ええ、まあ」
「俺もちょうど今空き時間でさ、良かったら事務所でお茶でもしていかないか?」
「別に構わないけど」
「じゃあ行こう」
 促されて、黒川は彼の少し後ろをついて歩きだす。駐車場にはいつもの社用車が置かれているのを見つけて、何とはなしに黒川は口を開いた。訊く。
「今日、何の仕事があったの?」
「バレンタインの特別料理番組の企画。奏と法子と忍、あと有香ちゃんに拓海さんがチョコレートのお菓子を作ってたよ」
「……へえ」
「毒味だとかなんだかで、さっき皆に色々押しつけられてさ。まあ義理でもうれしいけどね」
「……」
 思わず、黒川は黙り込んでしまった。今、社用車の中にはその彼女たちから渡されたチョコレートたちが積まれているのだろう。それならば、今がチャンスかもしれない。この流れで「ついで」に渡してしまえばいいと、そう思って。
 一歩、相手との距離を詰める。
「あの、プロデューサー」
「ん?」
「…わたしからも、これ」
「え?」
「か、奏たちから沢山もらってるみたいだけど、一応、その、お世話になってるから」
 ずい、と差し出したショップバッグは二人の間で暫く揺れたあと、何故かひどく動揺した彼の手に渡っていった。中身を確認するように見て、けれどすぐに視線を落とす。後ろ頭をがしがしと掻いたあと、彼は「あー」と何とも気の抜けた声を出した。
「……なんだ、その、嬉しいよ。うん、嬉しい」
「そ、そう」
「義理でもさ、やっぱり嬉しいな。黒川からもらえると思ってなかったから」
「……わたし、そんなに薄情に見えるのかしら」
「ちが、いや! そうじゃなくて! もらえたらいいなって思ってたから!」
「え?」
「あ、いや」
 会話が途絶えて、しんと二人の間に沈黙が落ちる。けれどすぐにあー、だとかうー、だとか彼の呻き声が聞こえ始めたところで、黒川は一歩後退した。
「あの、プロデューサー」
「な、なんでしょう」
「お茶は、また今度で。ちょっと急用を思い出したの」
「そう、か」
「ええ、だからここで」
 そこまで言って、黒川はくるりと背を向けた。足早にその場を立ち去り、すぐに「空車」の表示がされていたタクシーを捕まえる。後部座席に乗り込んで、行き先を告げて、そして。
「………」
 口元に手を置いて、俯く。ばくばくとうるさい心臓が飛び出してきそうで、体温が上昇しっぱなしだ。ひょっとしたら、本当に熱があるんじゃないかと心配になるほど熱くて、苦しい。
(……期待を、)
 先ほどのプロデューサーの反応に、してはいけない期待をしてしまう。けれど沢山もらうであろうチョコレートの中で、自分の分を待っていてくれたというのはやっぱりもらう側からの社交辞令なのだろうか。
 当然いくら考えても答えなぞ出るはずもなく、ただ手作りにすれば良かったと今さらのように後悔したのだった。

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まだ火曜だというのに+拍手レス

なんだか妙にどっと疲れている私ですこんばんは。

昨日寝ているときに枕元に置いておいた携帯を落下させたんですが、暗闇+裸眼+寝ぼけパラメータな時点で探し出せるはずもなく、それでも悪あがきに床をさわさわしてみたんですがやっぱり見つかるはずがありませんよね!
朝にしっかりアラームで居場所を知らせてはくれましたが、私はそろそろ新しい小さめの時計を買うべき。しかし今日寄った電気屋で軒並み時計関連が取り扱ってなくて絶望しました。

朝になるとどうしてもアラームが鳴る前に一度目が覚めて、時間を確認するのが癖になっているので時間が確認できないとそわそわしてしまうんです。
なので今日はいつものように携帯で時間を確認しようとしたらなくて、たまたま枕元に一緒に置いてあったPSVitaで確認しました。暗いのでボタン配置がわからなくてやっぱりさわさわしました。点きました。明日こそは時計を買おう(決意)

疲労の現実逃避になくしたと思っていたハウルのDVDが出てきたので思わず全部観てしまった・・・何をしているのか・・・
ハウルがイケメンすぎるのはわかっていたことですが、最後のかかしのイケメンさもやばい。しかしイケメンというか男前さでいったらソフィーに敵うものはいないのであった。後半の怒涛のソフィーターンがやばい。ソフィーかわいいよソフィー

そして荒れ地の魔女の「きれいな火だねえ」のシーンは友人を思いだして毎回ふきだしてしまう。

ひとまず明日は水曜日で折り返し地点だぞー!がんばるぞー!


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2月25日

えむこ>
薔薇の刻印を見つけて私と一緒にデュエリストになろうず!
世界を革命する力をー!!!!!!!1

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【サクラ大戦】源三郎小話【奏組】

きっと皆同じことを考えたと思うんですがやっぱり居ても経ってもいられなくなったので書き散らかしでござるの巻。


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 弱い自分が嫌いだった。
 小ささはまるでその象徴のようで、はやく大きく、大人になって、兄と肩を並べたかった。
 その甲斐あってか、今では兄よりも大きく成長できた。身体も大きくなって、生きるための術を身につけてきたというのに、心は子供の頃よりさらに暗く沈む時がある。
 それは年齢よりも身長が伸びなかった兄に対しての罪悪感。
 子供の頃には気づかなかった、兄の優しさを今さら痛感してしまったから。
 つらい幼少期によく兄が自身の夕飯を分けてくれたとき、何も考えずに素直に喜んでいた自分が憎らしい。
 余るはずなんてないのに。
 お腹がいっぱいになるはずなんてないのに。
 いつも、いつだって空腹で、寒くて、寂しくて。
 兄と二人、寄り添うように生きてきたのにどうして気付かなかったのか。子供の無知と、浅はかさに腹が立って仕方ない。
 それでも兄はいつものように「気にするな」と言って笑うのだ。どんなに辛くても苦しくても、兄はそうやって笑ってきた。大丈夫だから、源三郎は心配するな。兄ちゃんに任せとけと。しかし屈託なく笑う兄に、いつしか素直に従うことが出来なくなった。それはちょうど、彼の身長をほんの少し追い越した頃だ。それくらいになってようやく気付いた自分自身のまぬけさにも相当呆れもしたのだが。
 だから源三郎は、音子が気に食わない。
 無邪気に笑う表情は兄のようで、けれど弱い姿は子供の頃の自分のようで。
 痛いところを突き付けられているような彼女を見ると、イライラしてしまう。
 そんな彼女が兄と楽しそうに笑い合う姿は、さらに源三郎の神経に触った。
 イライラとぐるぐるした感情が交互に渦を巻いて、けれど時折、ひどく悲しくなる。
 まるで無力な子供の頃を彷彿とさせれしまい、音子への気持ちはさらに下降の一途を辿る。――と、そこまで考えて、違う、と源三郎は心の中で否定した。本当は認めたくなんかないけれど、悪いのは音子ではない。音子への感情は言わば「憧れ」だ。あんな風に素直に「ありがとう」と笑うことが、自分にはできないから。それを苦もなくできしまう音子のような、兄のような人間が本当は羨ましくて仕方ない。
 けれどもう、軌道修正ができないほど自身がひねくれてしまっているのも自覚している。ならばもう、自分に出来ることはこのひねくれた性分と向き合って開き直って、わかりずらいと言われるままの性格で彼女と接していくしかないのだ。
 音子の笑顔に慣れるまでこっちが大人になってやるしかないと、やっぱり源三郎はひねくれた考えでもって一人、ため息を吐いた。

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拍手レス

一月末の拍手コメントが確認できてなくて大変遅くなりましたすみません!
そんなわけで拍手レスです!


1月23日
えむこ>
薔薇の指輪復刻してたから予約したよ!でも黒薔薇の指輪とかも出ちゃったら迷いなく買う私を余裕で想像できるよ!
とりあえず君もなくした指輪を見つけてきたまえ。

1月28日
アオニレ様>
わああああああああああああいつもコメントいただいていたのに見逃していてすみません!そしてついったーの方でうれしいコメントをありがとうございます!
拙宅の瑛主で少しでも楽しんでいただけているということで、とても励みになります!
マイペースで気まぐれなサイトですが、よろしければお暇なときにでもまた覗いてきてやってくださいませー!

2月23日
アロエさん>
アロエさんもはやく書けばいいと思います。
しかし奏組がゲーム化しようものならお互いのテンションがやばそうね!楽しみだけど!
アロエさんの奏組薄い本を買う準備はいつでもできている。

その他ノーコメ拍手もありがとうございましたー!

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NEMUI!

友人宅に遊びにいって友人の娘と延々と戯れてきました。
丸一日一緒にいるとまるで休日のお父さんのごとく何とも言えない態度を示す彼女に対して今から不安でいっぱいです。
ひとまずサクラ大戦のBDを見せることは成功しました。そのあとは延々とサクラ大戦談議をしてきたんですが、最近の奏組ブームと相まってプレイしたくなっちゃいますよね!1&2はPSP版で購入済みだから3の移植をお願いします!お願いします!
PSVitaのスペックなら3の移植はいけると思うんだけど無理かなー売上とかそういう意味で。
いやでも奏組の影響でちょっとは何かしら動いてくれないかと淡い期待を抱きつつお風呂入ってきます。なんかもう昨日からふいに気絶しそうな勢いで眠くて困ります。

ではではおやすみなさい!

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