嵐さんまじ小悪魔!ってなった結果がご覧のありさまですよ。
男女間の自覚をまったく気にしてなかった嵐さんが自覚しちゃったら辛抱たまらなくなってしまいました。本当嵐さんには無限の可能性があるな・・・
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美奈子が女だということはわかっていた。けれど正しく理解をしていなかったのだと、最近になって不二山は気が付いた。
もちろん男女という性別があるのはわかっていたが、別段意識して考えたことがなかったのだ。男でも女でも同じ人間。不二山の根本はそこであった。だからある意味、正しく「男女平等」だった。
しかし、つい先日美奈子と出かけた海辺でのこと。いつものように他愛もない会話をして、その時にちょっとした戯れの延長で美奈子を投げ飛ばしてしまった。新名や他の柔道部員よりも軽く、そしてあっけなく放り投げられてしまうことに、不二山の心臓は今まで類を見ないほど大きく動揺した。
助け起こそうとして掴んだ手首が改めて細い事実にも気が付いて、さらに不二山の思考は混乱する。
子供の頃、身体の弱かった自分は柔道と出会い、今のように鍛えられた身体になったけれど、美奈子は違う。
彼女は自分とは――男とは違う生き物なのだ。
そう自覚したら、美奈子を見る目が一気に変わった。
いつものペースで歩く不二山とは歩幅も違い、一生懸命ついて来てくれているのがわかる。
こんな些細なところでさえ自身との違いに気が付いて、不二山は足を止めた。当然それに習って美奈子も足を止めて、不思議そうな顔でこちらを見上げる。
「早いか?」
「え?」
「俺のが歩くのが早いから、ほら」
「え?」
「手、繋いだら少しはラクだろ?」
「ええっ!?」
先ほどから同じ単音しか発しない美奈子は、最終的には驚いたような顔になった。ぱちぱちと大きな目を素早く二回瞬きしたあと、差し出した不二山の手と、こちらの顔を交互に見やる。
「……あの」
「ほら、行くぞ」
「わ」
何故か中々手を繋がない彼女にしびれを切らして、結局不二山から相手の手を取った。一回りほど小さい美奈子の手は、大きさだけではなく感触も違う。柔らかい美奈子の手に、不二山の心臓が一つ大きく鼓動を打った。その後にいつもより早く脈拍が続いて、不二山は内心で首を傾げた。
とりあえずわかることは、まだもう少し美奈子と一緒にいたいということだけだ。
[2回]
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