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イチジ九

すべからくどうしようもない日常のあれこれ。 ネタバレ盛り沢山ですので注意!

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\(ハッピーバースデー佐伯!)/

小話というより小ネタレベル。
ごめん佐伯。でも大好きだっていう気持ちはこもってるつもりですなのではやくデイジーと結婚しろ

改めて誕生日おめでとう、佐伯!!

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「お、お父さーん」
 一日の授業が終わり、バイト先である珊瑚礁に向かう道すがら。
 少し先に見知った後ろ姿を発見したあかりは、遠慮がちにその背中へと声を掛けた。そうすると、相手は歩みを止めてゆっくりと振り返る。学校では絶対に見せることのない半眼でもってあかりの姿を認めるや、今度は営業スマイルを浮かべて見せた。
「やあ、海野さん」
「う」
 いつもよりもワントーン高い声に、あかりは思わずたじろぐ。学校内やバイト先の珊瑚礁ならいざ知らず、今はあかりと佐伯の二人しかいない。というのに、この他人行儀の態度は彼の機嫌が悪いことを示している。あかりはもう一歩後退しそうなのを踏みとどまり、代わりに勇気を振り絞って彼へと近寄る。
 佐伯はあかりが来るのを待ち構えるように、その場から動かない。夏の暑さとは違う部類の汗が背中を伝い、あかりは視線を落として彼の元へと到着した。相手の靴のつま先を見つめながら、鞄と一緒に手にしていた紙袋を差し出した。そうして「誕生日おめでとうございます」と続ければ、頭に彼お得意のチョップがお見舞いされてしまった。
「遅い」
「…ごめんなさい」
「そんな親不孝な娘に育てた覚えはないぞ」
「だからって家庭内暴力はどうかと思うの」
「よし、もう一発だな」
「ごめんなさい」
 チョップの構えを取る佐伯にすかさず頭を下げて見せれば、今度はチョップではなく手のひらが頭の上に乗った。くしゃり、とその手があかりの髪の毛をかき混ぜ、すぐに離れていく。撫でられたのだと気づくのに数秒の時間を要してから、顔を上げた。すると、佐伯はいつものようにどこかめんどくさそうな表情でもって、いくぞとあかりに告げた。
「ちんたらしてたら遅刻する」
「う、うん」
「あー、あとな」
「なに?」
「じいさんがケーキ買うって言ってたから、ちょっと処分係りに加われ。そんで、カピバラになれ」
「ちょ、なんかその表現おかしい!」
「じゃあ食わない?」
「食べるけど!」
「ならいいだろ」
 そう言って、佐伯は笑う。その笑みにうっかり心臓が高鳴ってしまえば、彼は急にあかりの手を掴んできた。え、と思うのもつかの間、彼は急に走り出した。
「思ってたより遅れてる。急ぐぞ!」
「ま、まってちょっと瑛くん!」
 引っ張られてる態勢によろめくも、すぐに立ち直って彼の後ろをついていく。繋がれた手にどきどきと心臓が速くなる。
「瑛くん!」
 走りながら、あかりは彼を呼ぶ。相手は振り向かずになんだよと素っ気ない返事を返してきた。
「誕生日、おめでと!」
 そうあかりが言えば、繋がれた手にぎゅっと力が込められた。

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