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イチジ九

すべからくどうしようもない日常のあれこれ。 ネタバレ盛り沢山ですので注意!

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琥一小話

悶々と葛藤するアニキがいとしい。笑

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 肩に掛かる重みへ視線を向けて、琥一はため息を吐く。今はWestBeachの琥一の部屋にいるのだが、どうしてこの幼馴染は無防備に寝てしまえるのかと考えれば、ため息の一つも吐きたくなるというものだ。
 今日の予定は、彼が手に入れた新しいレコードを聴く予定だった。それは先ほどまで実行されていたのが、気がつけば彼女が船を漕いで寝てしまったのが今現在だ。あどけない寝顔を一瞥し、そしてすぐに視線を逸らす。身長の低い彼女と並べば、当然座っていてもその差は変わらない。むしろ寄りかかれていることにより更に距離は狭まり、見てはいけないものまで見えてしまうのだ。ーー例えば、開いた胸元から覗く女性特有の膨らみとか。

(何で今日に限ってこんな服着てやがんだ!)

 しかも下着のレースまでちらりと見えているから困りもの。意識して見ないように努めていてもそこはそれ、悲しいかな男のサガはDNAとうい名の本能に組み込まれているらしい。吸い寄せられるように彼女(の胸元)へ視線を向け、その度に我に返って逸らすの繰り返しを琥一は繰り返していた。もはや拷問である。
 できることならばこのまま押し倒してしまいたい衝動が駆け巡るがそこはそれ。彼女に対する幼馴染やら兄やら果ては父親としてのさまざまなプライドがぎりぎりで琥一の理性を繋いでいた。しかしそれもごくごく細いヒモでしかなくて、いつ切れておかしくないほどに擦り減っている。ほんの些細なきっかけがあればプツンといってしまいそうだというのに、当然そんなことを知る由もない彼女はのんきに寝こけているのだからタチが悪いにもほどがある。

(クソ)

 内心でのみ毒づいたそれは果たして何に対してか、琥一自身にもわからない。
 そんな彼が唯一できることは一分でも、一秒でも早く彼女が目を覚ましてくれと祈るだけだった。

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琉夏小話

「琉夏くん、どーん!」

 いう言葉と同時に、背中が柔らかい感触に包まれた。琉夏は何事かと思いはしたが、焦ることはない。彼女の突撃を何なく受け止めて、後ろを振り返る。と、 幼馴染の少女の期待に満ちた視線と目が合った。

「びっくりした?」
「え?」
「いつも琉夏くんが不意打ちでしてくるから、そのお返しなんだけど」
「……ああ」

 言われて、ようやく合点がいった。そういえば最近の自分は隙あらば彼女に抱きついていたかもしれない。もう! とお得意の少しだけ困ったような、怒ったような顔が見たいのと、ついでに彼女に触れるチャンスの二つを兼ね揃えた作戦だったのだが、予想外のところで棚から牡丹餅が降ってきたらしい。ぎゅうと腰に回る手もさることながら、背中に当たる二つの膨らみは正直に嬉しい。当然、男としての下心全開でだ。
 琉夏は思わずにやけそうになる顔を無理やり押し込め、代わりに妙に真剣な表情をわざと作ると、相手を見つめる。そうして、

「駄目だ」

 と、これまたまじめな口調できっぱりと告げる。えっと驚く彼女には構わず、琉夏は更に言葉を続けた。

「駄目。全然駄目」
「えっと…?」
「どーんてきたあと、腕にもっと力を込める」
「こ、こう?」
「そう。あと更に身体をくっつける」
「ええ?」
「ぎゅーって、力いっぱいするんだ」
「…これでいい?」
「惜しい。もう少し」
「これくらい?」
「あと一声」
「ええええ」
「何してんだこの馬鹿!」

 ばしん! と景気良く後頭部が叩かれてしまい、さすがの琉夏も少しだけ蹈鞴を踏む。ついでにびっくりしたらしい彼女の身体も離れてしまって、琉夏は不機嫌に顔を顰めた。が、振り返った先には自分以上に眉間に皺を寄せたオニイチャンがこちらを睨んで、詰め寄られてしまう。

「うーん、コウに近づかれても嬉しくない」
「てめえが馬鹿なことしなきゃ俺だってしねえよ」
「あ、あのコウくん! 元はと言えばわたしが悪くて!」
「そうそう。よし、じゃあハグのやり直しだ」
「え、ハグではないんだけど…」
「やっぱてめえが悪い」
「イテ」

 ばしん! と再び琥一によって本日二度目の制裁が琉夏に落とされた。

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琉夏小話

「ルカ、シャツのボタン取れ掛かってるよ?」
「あ、本当だ」
「……もう、付けてあげるから、座って」
「悪いね、ママ」
「その呼び方やめてってば」
「脱ぐ?」
「い、いいいよ脱がなくて! そのままでもできるもん!」
「そっか、残念」
「全然残念じゃありません」
「ちえ」
「動かないでね」
「うん」
「……」
「……」
「……あのさ」
「なに?」
「この距離ならちゅーできるね?」
「……変なことしたら刺しちゃうよ?」
「ごめんなさい」
「もう終わるから」
「おまえと二人きりならもっとゆっくりでもいいのに」
「よし、できた」
「あれ、シカト?」
「調子のいいことばっかり言う人の言葉は信じません」
「ママ、厳しい。でもサンキュ」
「どういたしまして」
「お礼にハグしてやる」
「結構です」
「ちえ」


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琉夏バン好き過ぎて生きるのが辛い。
最近もっぱらピクシブで生息しててこっち放置ですいませ…
ノーマルにこんなにだだはまるとは思ってなかったんだ…

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緊急地震速報と佐伯小話

仕事中に一斉にアラームが鳴り響いた上に、制服のポケットにいれた携帯もハウリングみたいな音を出しはじめたの物凄い焦ったらドコモからの緊急地震速報でした。初めて受けとったよこんなの!
仕事上がってからついったを覗いたら全キャリアに配信されてたようで、びっくりしたのが私だけじゃなくて安心しました(そこ)

しかし福島県で震度4、栃木埼玉茨城が震度3らしいのですが、うちの会社はびくともしませんでした…同じ関東でも地域にも寄って反映されていないところもあるみたいですが、何より無事なのが一番ですね!
そして焦ってカンパンを探すのである。落ち着いて私。

今日はなんだか木曜な気がしてましたが、真実は水曜日でどっと疲れが……あと二日頑張るのぜ。


そして久しぶりに瑛くんにカッとなったので小話を投下してゆきます!

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 今日の空模様は気持ちの良い秋晴れだ。暫く雨続きだったので、太陽が姿を見せているだけでなんとなく嬉しい気持ちになる。太陽も雨もどちらも大切なのはわかっているけれど、やっぱり雨ばかりだと気持ちも沈んでしまうもの。ついでにいうならばクラスメイトの針谷の機嫌もナナメになってしまうので(理由、雨のせいで髪のセットが決まらないから)、やっぱりお天道様の力は偉大なのかもしれない。
 そんなことを考えながらのランチタイムは、太陽の近い屋上でと行きたいところだったけれど、何となく進路を変えて中庭の端っこにやってきた。校舎の影になったそこには太陽の光は届いていないので、どことなく薄暗く感じる。少し先にいけば念願の太陽の光を浴びるこはできるのだが、それは敢えてしないでおく。それというのも、

「何こんな暗いところで飯食ってるんだよ」

 罵声とともに飛んできたチョップを後頭部に受けて、いたい、と抗議の声を上げる。振り返った先には我が校のプリンスとして謳われている佐伯瑛が、プリンスらしかぬ皮肉な笑みを浮かべていた。ああもうと内心でのみ、唸る。思わず口に出して言おうものなら、チョップ第二弾がやってくるのは明白だからだ。ああもう。と二度同じ言葉を呟いて、けれど口許は笑ってしまう。それはつまり、ここにいれば彼がやってくるという確信があったから。それがまんまと的中したのだから、思わず笑みも浮かんでしまうというもの。

「おまえ、何笑ってんの?」
「別に。瑛くんこそ今からお昼?」
「まあな」

 どっかりと隣に腰を下ろす様子から、どうやら一緒にお昼を食べてくれるらしい。そうすると、顔の笑みは自分で自覚できるほど気持ちの悪いものになっていく。ので、とりあえず誤魔化すように、ジュースのパックから伸びたストローに噛みついた。甘いオレンジジュースの味で込み上げる笑いを中和していると、瑛は手作りらしいサンドイッチを披露する。おいしそうだ。

「サンドイッチ、おいしそうだね?」
「俺が作ったんだから、当然」
「あ、やっぱり瑛くんが作ったんだ」
「やっぱりってなんだよ」
「なんとなく、瑛くんっぽいなって思って」

 そういってみれば、そんだそれと呟いてそっぽを向かれてしまった。あれ、怒らせた? と顔を覗くように追いかければチョップが飛んできて、本日二発目のそれを今度は額に頂いてしまう。

「いたいってば、瑛くん!」
「ウルサイ。有り難く分けてやるから、大人しく食べなさい。お行儀の悪い子はお父さん許しませんよ」
「…はーい」

 厳しい「お父さん」からのお叱りを受けてしまったので、大人しく返事を返して食事を再開させる。半分にちぎられたサンドイッチを受け取り一口食べれば、それは予想を裏切らずにおいしい。
 先程怒られたことも忘れてぱっと顔を輝かせ、言う。

「お父さん、おいしい!」
「わかったわかった」

 褒めたはずなのに、なぜ呆れられてしまっているのか理不尽さを感じる。しかし口答えをしたあとのチョップ第三弾の飛来は容易に想像できたので、黙ってお昼ご飯を平らげるのに専念するのであった。

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桜井兄弟がかわいいにもほどがある。

今私のDSは起動する度に桜井兄弟が何か呟いてくれるんですがもうね!


ルカ「…だめだ、愛と勇気が足りない…」
コウ「まず意味がわからねえ!」


とかこんなやりとりばっかりではげる。
かわいすぎて私のライフはゼロよ!

桜井兄弟とバンビかわいすぎるよーうおー!!
というわけで、ルカ×バンビの小話をぺたりしておきます。ノーマルな上に全力でネタバレを含みますのでご注意!



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 ――『ルカが事故った』

 コウから送られてきた短い文面のメールを見て、心臓がきゅうと縮み上がるような錯覚を覚えた。ついで、どんどんと内側から叩きつけるかのように心臓が騒ぐ。そうして呼吸が浅くなっていることにも気がついて、わたしはようやく我に返った。

 行かなきゃ。

 立ち上がる。咄嗟にそのままの格好で飛び出しそうなる動きを止めた。慌てて上着を羽織って、携帯と財布だけを入れた鞄を肩に掛ける。お母さんに短く用件だけを告げて今度こそ家を飛び出した。
 夜も遅く、辺りは人の気配もない。ぽつぽつと灯った街頭がひどく寂しく見える。けれど今はそんなことに構っている場合ではない。わたしは愛用の自転車を漕ぐのに集中する。乱れる呼吸の息が冬の空気に散っていく。頬が冷えて次第に感覚がなくなっていくけれど、それに反するように手袋の中の手は熱くなっていく。ぎゅ、とハンドルを握り直して、怠けそうになる足を叱咤する。あと少し。もう少し。そんなことを言い聞かせ。最後の坂道を越える。ようやく見えた大きな総合病院の威圧感に気圧されそうになりながら、わたしは自転車置き場に向かい、鍵を掛けることもせずに病院の中へと飛び込んだ。
 夜中の病院はひどく静かで、それが一層わたしの中の焦りを煽った。
 入り口にいる看護士の人に声を掛けて、ルカの病室を聞こうとしたところで名前を呼ばれる。

「コウ」

 思わず大きな声が出そうなったのを何とか堪える。呼ばれた方向に顔を向ければ、そこにはいつにも増して険しい顔つきのコウがいた。けれどよくよく見れば目がひどく疲れているのがわかる。ああ、憎まれ口ばかり叩いていてもやっぱり兄弟だよね、と。そんなコウの様子に少しだけ気持ちが落ち着いた。
 コウはわたしの目の前まで歩いてくると、目を細めて口を開く。

「悪かったな」
「ううん。それよりルカは」
「奇跡的に一命は取り留めたそうだ」
「…そう」

 奇跡。
 その言葉で、少しだけ静まった心臓が再び縮み上がる。つまりはその「奇跡」が起きなければ、ルカはいなくなっていたということだ。
 ふっと暗くなりそうな意識をなんとか踏みとどまり、代わりに学校の屋上の縁を渡って歩いていたルカを思い出した。お昼代がないからとやりはじめたその芸当に、危ないからやめてと止めるわたしにルカは、俺はヒーローだから不死身だと笑った。いつものルカの口癖だ。俺はヒーローだから、大丈夫。だから今回も「ヒーロー」の恩恵を受けられたとでもいうのか。笑えない。

「大丈夫か?」

 コウの低い声が降ってきて、わたしの肩に手が置かれる。わたしはそれに小さく頷き返すと、そのまま近くのベンチに座らされた。今更になって膝が震えているのに気づく。わたしは両手で顔を覆い、一度呼吸を整えるべく深く息を吐く。次に、吐いた半分の量の息を吸い込み、顔を覆っていた手を目の前で組む。額に当てて、目を閉じた。まぶたの裏には、笑うルカの顔が浮かぶ。コウとふざけてる時。わたしに怒られて誤魔化す時。誕生日プレゼントに照れた時。たくさんたくさんルカの笑顔を見てきたけれど、でも、時折見せるひどく寂しくて悲しい笑顔が最後に思い出された。それは子供の頃から変わらないもので、それを見るたびにわたしはどうしようもない気持ちになった。
 昔、どうしてそんなに悲しそうなのと、子供のわたしが訪ねたことがあった。けれどそれには答えてもらえず、やっぱり悲しそうにルカはわらうだけだった。

「…コウ」
「なんだ」
「わたし、ずっと3人でいられると思ってた」
「…ああ」
「ルカとコウの3人で、ずっと楽しく笑ってられると思ってた。一緒にいられると思ってた。誰かがいなくなるなんて……ルカが、いなくなるなんて、そんなの」
「……」

 一度言葉を止めると、二人の間に沈黙が落ちる。
 夜の病院は本当に静かで、わたしとコウの会話以外に話している人影も見られない。

「コウ、わたし」

 わたしは再び口を開く。喉の奥で何かが引っかかる気配がする。こみ上げてくるものをなんとか飲み込み、わたしは一度唇を引き結ぶ。そうして、

「ルカのこと、好きだ」

 消え入りそうな声で告げたわたしの言葉に、やっとかよ、と。同じくらい小さな声で、どこか呆れたように、でもひどく優しい声でコウが言った。ぐしゃぐしゃと乱暴に頭を撫でられると、腕を掴んで立たせてくれる。

「行ってこい」

 背中を押されて促された先は、ルカが寝ている病室の前。こわい。無事だとわかっていても、怪我を負ったルカを見るのがこわかった。けれどこのまま逃げるのなんて、当然できるはずもない。
 わたしはスライド式の病室のドアを静かに開き、最初の一歩を踏み出した。

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