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イチジ九

すべからくどうしようもない日常のあれこれ。 ネタバレ盛り沢山ですので注意!

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不二山小話

(バンビ視点)

 はばたき学園を卒業してから恋人として付き合うようになってから半年が経つ。それぞれ進路が違うことから、 二人で一緒に過ごす時間は極端に減った。
 だから、なのか。
 嵐と一緒にいる時間のときは、彼が後ろから抱き締めるような体勢になることが当たり前になっていた。
 高校時代に比べて明らかに恵まれた環境に身を置き、思い切り柔道に専念できる嵐の邪魔になりたくないので決して「寂しい」と口に出したことはなかったのだが、彼にはすべてお見通しらしい。
 適わないなあと、ひっそり内心で降参していることすらもきっと見抜かれていて、ならば甘えさせてもらおうということでこの体勢がデフォルトになっていた。
 そして今日も今日とて、大学進学と同時に一人暮らしを始めた美奈子の元に訪れた嵐を迎え入れ、簡単な夕食を済ませたあとのくつろぎタイムだ。点けっぱなしのテレビからはゴールデンタイムのお笑い番組が流れていて、時折芸人のやり取りに笑ってみたり、取り留めのない会話を繰り返していた。
 ら、
「ひゃっ!」
 ふいに、お腹の上で組まれていたはずの嵐の手が、何の前触れもなく美奈子の胸掴んできた。ので、思わずひっくり返ったような声を上げてしまう。
「あ、嵐くんっ?」
「うん?」
「いや、『うん』じゃなくて!どうしたのいきなり!」
「んー…」
 美奈子の呼びかけに曖昧な返事を返して、嵐は掴んだ乳房を揉み始める。制止の声を掛けながら肩越しに振り返ると、嵐の視線は胸元へと注がれている。そうして両方の手で掴んだ二つの膨らみを単調な動きで揉み続ける。嵐くん、ともう一度呼びかけてみるが、返ってくるのはやはり曖昧な返事のみ。だめだ、こうなってしまった嵐は何も聞こえない状態だと美奈子はこっそりをため息を吐く。何が気になったのかは知らないが、嵐の手の動きにいやさしさはなく、むしろ事務的だ。右手と左手で交互に握っていく動きは、何かの作業のようにも見える。それが自分の胸で行われるのは何とも言えない気持ちになるが、ここは相手が飽きるまで放っておくしかないかと美奈子はテレビへ視線を戻す。いくら胸を揉む動きが単調とはいえ、それを直視していると妙な気分になってしまうからだ。自分だけ勝手に盛り上がってしまうのは悔しいので、美奈子はどうにか意識を別の方向に逸らす作戦に出た。
 すると、ちょうど見ていた番組は終わってしまったのか、CMが数本続いたあとにニュースが始まってしまう。
「…んっ」
 つと、微かに喉の奥から声が漏れた。その声にはっとなって、美奈子は唇を引き結んだ。ニュースを読み上げるニュースキャスターの説明に集中しようとして、けれどぐっと強めに乳房が握られる。思わず背中を丸めてしまうと、その手の力が緩められた。しかし今度は胸同士をすり合わせるという、「揉む」以外の動きが加わって思わず息を飲んだ。再び嵐の様子を確認するも、彼の態度は依然変わらない。
(どうしよう…)
 と、美奈子は胸中で呻く。自分の中に点り始めたいかがわしい気配を堪えるように、下唇を噛む。しかし油断をすると思わず声を零してしまい、その度にぎゅっと目を瞑った。
 もはやテレビからの情報は「音」としての認識でしかなく、内容なんてまったく頭に入ってこない。
(…どうしよう)
 誤魔化しきれないほど大きくなりつつある熱と一緒に、美奈子の動揺も大きく揺れる。どうしよう、と何度目かの疑問が頭を過ぎるのと同時、美奈子はか細い声で嵐を呼んだ。
「あ、らし…くん」
「……」
「う…ぁ、んっ。……きゃ!」
 つと、胸を揉む嵐の手が止まり、横に押し倒される。相手の突然の行動に目を白黒させていると、嵐は美奈子に覆いかぶさるように体勢を変えてきた。顔の横に両手が置かれ、見上げる先の彼の顔はほんの少しだけ余裕がなさそうに見えるのは気のせいだろうか。
「美奈子……してえ」
「…もう」
 形だけでも拗ねたふりをして、しかし美奈子はしっかりと嵐の首に腕を回した。

---------------


(嵐さん視点)

 すっかり定着したお互いのポジションで、嵐はふいに美奈子の胸元へと視線を落とす。そうして思い出すのは昼間の部活後に部員たちが騒いで見ていた、胸元が強調された服ばかりをきたグラビアアイドルたちが掲載された雑誌のことだ。
 柔道部という男所帯のせいか、隙あらば下世話な話題で盛り上がることが多々ある。
 嵐としては美奈子がいれば十分で、わざわざ雑誌やDVDを購入することはないのだが、中には彼女がいてもいなくても必要な人間は存在する。
 そうして「彼女はいるけど必要」な部員が持参した雑誌が広げられ、小時間ばかり盛り上がっていた。
 嵐としては、「大きさ」を気にしたことはなかった。
 ただ、美奈子と付き合うようになってから、彼女の身体では気になる部位ではあるという自覚はなんとなくあった。
(そういえば)
 と、嵐は思う。
 付き合う前。正確にいえば身体を重ねる前に比べて、心なしか美奈子の胸は大きくなった気がする。今は彼女のお腹の上で手を組んでる状態だが、腕に当たる 面積が増えてるような、いないような。
 そんなあやふやな感覚が彼の中でもやもやとしたものへと変わり、気がついたら彼女の胸を掴んでいた。
「ひゃっ!」
 美奈子が驚いたように声を上げたが、無視。そのまま大きさを確かめるように手を動かしていく。
「あ、嵐くんっ?」
「うん?」
「いや、『うん』じゃなくて! どうしたのいきなり!」
「んー…」
 美奈子の呼びかけには曖昧な返事を返し、嵐は胸を揉むことに集中し始める。
 服の上からでも十分に柔らかさがわかるそれに、もやもやとした気持ちはますます膨らんでいく気がするのはなぜか。内心で首を傾げながらも、胸を揉み続ける。
「…んっ」
 つと。
 微かに漏れた美奈子の声に、今更ながら我に返る。
 美奈子自身もその声に気がついたのか、声を出さないようにきゅっと唇を引き結んだ。その様子を見て、思わず嵐は胸を揉む手に力を入れる。と、びくっと彼 女の身体が揺れ、その背が丸まる。嵐は知らず口角を上げて笑うと、胸を揉む手の力を緩め、しかし今度はすり合わせるような動きへと変える。
 美奈子は声を上げないように必死に堪えてはいるが、乱れる呼吸はままならないらしい。そうして嵐の触れている胸元からは、心拍数が早くなっているのもしっかりと伝わっている。けれど声だけは出すまいと必死になる姿がなんともいじらしく、少しだけ――ほんの少しだけいじめたくなるのも事実だ。
 先ほどまでは単調な動きだけを繰り返していたが、今ではすっかり美奈子の様子を伺いながらの意図した強弱をつけて刺激を与えていた。しかし美奈子はその ことに気がついていないらしく、ただただ必死に声を出すまいと開きそうになる口元を何度となく噛んでは塞ぐ努力をしていた。
 と、
「あ、らし…くん」
 切れ切れに、美奈子が嵐の名前を呼んだ。
 そこで、嵐の中の何かのスイッチが押された。
「……」
「う…ぁ、んっ。……きゃ!」
 嵐は胸を揉む手を止めて、そのまま美奈子を横に押し倒す。彼女を見下ろす体勢になると、相手は驚いたような顔をしていた。しかし嵐はそんな美奈子には構 わず、彼女の顔へと顔を寄せる。言う。
「美奈子……してえ」
「…もう」
 どこか拗ねたような、怒ったような顔と声で言うものの、美奈子はしっかりと嵐の首に腕を回してきたのだった。





嵐さんの脈絡のなさプライスレス



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