忍者ブログ

イチジ九

すべからくどうしようもない日常のあれこれ。 ネタバレ盛り沢山ですので注意!

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

現在、新しいコメントを受け付けない設定になっています。

天童小ネタ

「たまには息抜きしようぜ」
 そう提案してきたのは、天童だった。
 いつもなら喫茶店でのお勉強コースのみの選択肢しかなかったので、唐突に与えられた新しい項目に、美奈子はぱちぱちと目を二回瞬かせた。
「息抜き?」
「そう。つか、ダチからこれもらったんだ」
 言って、天童はブレザーのポケットにつっこんであったらしいチケットを差し出して見せた。少しだけよれているそれは、カラオケの料金20%OFFのチケットだ。カラオケ、と美奈子は口の中で呟いて、その誘惑に心が揺れた。確かにここ最近の休日は、友人の有沢と模試を受けたり図書館に籠っていたりと勉強ばかりだった。放課後は放課後で天童と一緒に喫茶店に通い、そこでもやはり教科書とノートを広げてのお勉強会だ。一番新しい遊んだ記憶を振り返るも、奈津美に連行されたゲームセンターで写シールを撮ったくらいだったのを思い出す。すると途端に、忘れていた「遊びたい欲求」がむくむくと湧いてきた。しかもカラオケなら、大きな声を出してまさにストレス解消になる。ストレスは受験の大敵、と美奈子は自分に納得させるように理由を並べて、ちらりと天童に視線を向ける。彼は機嫌よくにこにこと笑っていて、その様子から、すでにカラオケに行くしか選択肢はないのは明白だった。
「……そう、だね。今日くらいはいいかな」
「よっし、決まり!」
「わっ」
 美奈子の答えを聞くなり、天童はすぐさま彼女の手を掴んで歩きだす。まるで大型犬が散歩で飼い主を振り回すような心境に、美奈子は苦笑を浮かべた。
「天童くんは、カラオケ好きなの?」
「まあ、普通」
「ええ? だってすごく嬉しそうなのに」
「おまえとのデートだから嬉しいんだって」
「えっ?」
「ん?」
「で、デートになるの…?」
「デートって思えばデートだろ」
「そ、う…」
 天童の言葉に曖昧に頷くたあと、途端美奈子の気持ちがそわそわしだした。
 うれしいと思う反面、自分と違って経験が豊富そうな彼には、他にもっとかわいい子が似合いそうだと落ち込む自分がいる。こんな風に一緒にいるのも、勉強が理由に他ならない。一緒に一流大学を目指して、受かって、そのあとは――そのあとも、きっとただの友達のままだろう。
 そう自覚した途端、心臓が苦しくなる。もう随分前から、天童に向ける気持ちが友人のそれではなくなっているのは、薄々感づいていた。否、気付かないふりをしていると言った方が正しい。
 この気持ちを認めてしまえば、もう後戻りができないから。
 そうしたら、こんな風に放課後に二人で会って、頭を突き合わせて勉強会なんてこともできなくなる。
 それなら、と美奈子は思う。
 このまま自分の気持ちに気付かないで、天童と一緒にいられる方がずっといい。
 美奈子はそう自分に言い聞かせると、そっと息を吐く。
 繋いだ手が視界の端に映り、再び、ずき、と鈍い痛みが走った。

 店の入り口で受付を済ませ、その際にワンドリンクの飲み物を片手に案内された部屋に到着した。少人数用の手狭な部屋に、先に美奈子が入って奥の席に座る。当然その隣には天童が座るのだが、美奈子は意識して彼から距離を取るように、二人の間に鞄を置いた。
「なーんか、急に元気なくね?」
「そんなことないよ」
 二人の間に置かれた鞄にめげることなく、天童は美奈子の顔を覗きこむ。美奈子は誤魔化すように注文したウーロン茶から伸びたストローへと口をつけた。
「カラオケ、やっぱ嫌だった?」
「ううん、好きだよ。ほら、歌わないともったいないから」
「美奈子さ」
「うん?」
「俺のほかにも、こうやって出かける男っているの?」
「え、いないよ?」
「本当に?」
「男友達はいるけど、二人で出掛けたりはしないかな。予定も合わないし」
「ふーん」
 珍しく曖昧な反応を見せる天童に、「どうしたの?」と問う。すると彼は少し逡巡するような素振りを見せたあと、壁に背中を預けるように座り直す。
「俺ってさ、美奈子にとってオトモダチ?」
「え…っと、そう、だよ?」
「俺はちょっと違う」
 言って、離れたはずの天童の顔が、ふいに近づく。それは会話をするには必要以上に近い距離で。見つめてくる彼の目から視線が逸らせない。何か言おうと思って、けれど言葉が喉の奥で引っ掛かってるように出てこない。ふっと彼の吐息を唇に感じ、咄嗟に目を閉じる。すると、唇の端に柔らかい感触が触れる。押し当てられたそれはすぐに離れ、うっすらと開けた目の前には、間近に天童の顔があった。ひゅっと息を吸うと、一緒に吸い寄せられるように、彼の唇が美奈子の唇と重なる。
「て、ん」
 ほんの少し離れた隙間に零した声は、再び彼の唇によって塞がれた。ぐっと彼の手が美奈子の腰を抱き寄せて、交わす口づけが深くなる。両隣からは盛り上がってるらしい歌声が聞こえてきて、それが妙に現実感を薄くさせた。
 どうして今、自分は天童とキスをしているんだろう。
 ぼんやりとした頭の片隅で問うも、当然のように答える声はない。
 ちゅ、ちゅぷ、と重なった唇からリップ音が上がり、縋るように天童の制服を掴む。呼吸が苦しくて、酸素不足の頭ではうまく思考が纏まらない。ただひたすらに「なんで」と「どうして」を繰り返すばかりだ。
「ふっ、ぁ!」
 つと、天童の指先が美奈子のスカートの中に伸びていた。ショーツの下に隠された陰核の場所を探すように、布地が指先で擦られる。
「ん、っん」
 ぴくぴくと、美奈子の腰が震える。甘い痺れが走り、お腹の奥がきゅうっと縮むような感覚を覚えれば、じわり、と自身の内部から何かが溢れてくるのがわかる。
「む、っ、ん、ん」
 くちゅ、と響いた音が、やたら大きく聞こえた。
「美奈子」
 唇は重ねたまま、天童が名前を呼ぶ。その声はひどく掠れて、低く、今まで聞いたことのない声に心臓が跳ねた。すると、唐突に天童は美奈子の手を掴むと、その手に何かを掴ませる。熱くて硬いものの正体がわからず、咄嗟に手を引っ込めようとするも、しかしそれは叶わず、結局強引に握らされてしまう。
「触って」
 囁くように言われて、先ほど握らされているものの正体を察する。そろそろと視線を手元へと落としてみれば、そこには寛げられたズボンから自己主張している彼の陰形があった。当然それを握っているのは、美奈子の右手だ。
「美奈子」
 促されるように名前を呼ばれると、天童の指の動きが再開する。あ、と声が出て、思わず手の中のモノを強く握ってしまう。すると、ぴく、と震えた反応が手のひらへと伝わる。
「上下に扱いて」
「しご、く?」
「そう」
 言われるがままに、ただ手を上下に動かしていく。シュ、シュ、と単調的な動きを繰り返してみるも、果たしてこれが気持ちいいのかどうかわからない。そもそもこちらをいじる天童の手に振り回されっぱなしで、相手の様子を伺う余裕などない。

-----------------------
ちょっと前に某方と話をして盛り上がった天童と1主のカラオケにいってそのままちゃんとした告白もしないで挿入手前までいっちゃう話の前振り(長い)



拍手[0回]

PR

コメント

現在、新しいコメントを受け付けない設定になっています。

カレンダー

04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

P3P

ザックス身体測定

プロフィール

HN:
なづきえむ
性別:
女性
職業:
萌のジプシー
趣味:
駄文錬成

バーコード

ブログ内検索