こんなにも妄想を箱にぶち込んで文章にしてほしいと思ったこともない。あ、すいません、いつもでした!
本当力量が足りないいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!
MOEだけは溢れんばかりにあるというのにいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!
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時刻は深夜の三時を回った頃。
真冬の夜は静かで、ただ、変わらずに波の音だけが心地よく耳に届いた。
佐伯は自室のフローリングの床に座り、自分のベッドで眠っているあかりの顔を見つめていた。
12月24日の今日、珊瑚礁は閉店した。
それを知ったあかりは、羽学のクリスマスパーティーを抜け出して駆けつけてきたらしい。
けれどちょうど祖父と言い合いをしているところにやってくるものだから、随分みっともないところを見せたと、佐伯はつい数時間前のことを思い出して情けない気持ちになる。ついでに膝枕を要求したことも、自暴自棄になっていたとはいえ何とも甘ったれたことをしたものだった。
しかしあかりは、そんな佐伯に対して嫌な顔もせず、彼の弱音を黙って聞いてくれた。膝枕だって決してラクなはずはないのに、文句の一つも言わずに佐伯の傍にいてくれたのだ。途中で帰ることだってできたはずなのに、こんな時間まで自分の傍にいてくれるのは何故だろうと、佐伯は静かな寝息を立てるあかりの顔をじっと見つめる。
「優等生の佐伯瑛」ではなく、ただの「佐伯瑛」として接することができるあかりの存在は、今さらながら大きかったのだと痛感する。
口を開けば憎まれ事を叩く自分に、あかりは負けじと対抗してきた。そのやりとりが、いつしか楽しいと感じていた。
他の女子とは違う、遠慮せずに平等の関係でいられることが心地よくて、けれどその友情が愛情へと変わっていたのはいつからだろう。――否、羽学の入学式の日に再会をしてから、この恋は始まっていたのかもしれない。
佐伯は眠るあかりの頬に手を伸ばし、遠慮がちに指先で触れた。それでも彼女は起きる気配を見せないので、佐伯はますます複雑な気持ちになる。
そもそもこの時間に男の部屋で、こんなにも無防備に寝てしまえる時点で自分は異性として見られていないのだろうか。そう思うと、佐伯の心臓が締め付けられるような息苦しさを覚える。
「あかり」
囁くように、佐伯は彼女の名前を呼ぶ。
腰を上げてさらにあかりとの距離を詰めていけば、幼少の頃の記憶が脳裏を過った。再会の約束だと、幼い自分と彼女は触れ合うだけのキスを交わした。遠い記憶に引っ張られるように、佐伯は彼女の唇へと、自分のそれを近づけていく。約束と、子供の頃のあかりが、泣き笑いような表情をしていたのを思い出す。そうして、お互いの呼吸が触れ合うほどの距離まで近づけば、僅かにあかりが身じろいだ。ぎし、とベッドがちいさく軋む音が妙に耳について、佐伯は一度動きを止める。未だ眠るあかりの瞼が、ほんの少しだけ震えた。
佐伯はあかりの唇から僅かにそれた場所に自分の唇を押しあてると、すぐに身体を起こす。ベッドから距離を置き、蹲るように頭を抱える。身体の内側が、発熱してるように熱い。室内は静かなのに、耳元で鳴る自分の心臓の音がひどくうるさくて、彼女に聞こえて起こしてしまうのではないかと思うほどだ。
佐伯は横目であかりの姿を確認するも、やっぱり相手は依然として眠り続けている。
(……ああもう)
内心で呻いて、佐伯は自身へと毒づいた。何をしてるんだろう俺は。彼女に甘えただけではなく、こんな卑怯なことをしたと知ったらどう思われるだろう。
佐伯は重く息を吐き出して立ち上がると、足音に気をつけながら部屋を出た。
自覚している以上に混乱している気持ちをリセットさせようと、佐伯はある準備を始めることにした。
あと数時間したら、あかりも起こそう。
嫌がっても強引につれていって、いつものようにケンカをしよう。
そこまで考えていると、口元が微妙に笑みを作っていることに気がついた。
佐伯は故意的に顰め面を作り、こめかみを親指で押す。
「よし」
自分自身に気合を入れるように呟いて、佐伯は珊瑚礁の倉庫へと向かった。
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