最近ちょっとだけブームなわんこ琥一。
人形に犬耳ついてるような状態でござる。
だがしかしちょっとマニアックなので畳みます。こんな設定ありかしらというお試し的な小話。
余計な感情が、ぐるぐると渦巻く。
ああちくしょうと琥一は内心で悪態を吐いて、こういうときは寝てしまうに限ると適当なクッションを枕にして横になった。
犬の――特に雄には不定期的にだが、動物には発情期というのがやってくる。
自然現象なそれがやってくるのは当然といえば当然なのだが、今はその感情を自分勝手な理由で処理できない状況にある琥一は、頭を悩ませていた。
この家に飼われて半年ほど。飼い主である美奈子は誰もが手を焼いた琥一を見事飼い慣らしていた。琥一も美奈子に飼われるのには何の不安も感じていなかった。むしろしっかりしている風に見えて、ぽっかりと抜けたところを見せる美奈子を放っておくことがでいないと妙な使命感を感じるほどだ。
そんな美奈子を、琥一の衝動に任せて襲うわけにもいかない。そもそも自分は飼い犬で相手は飼い主だ。この完全な上下関係を崩すことなど「犬」として生まれた宿命からは覆すことなどできない。
「コウー?」
つと、琥一を呼ぶ美奈子の声が聞こえた。が、琥一は寝たふりを決め込む。彼女の声に反応して尻尾が揺れかけて、それを理性で押しとどめる。しっかりと目を閉じて寝ている体勢を整えたところへ、リビングのドアが開いた。
「あれ、寝てるの?」
無防備に琥一の元へとやってきた美奈子は、彼の傍で座り込んできたかと思えば頭をなで始める。彼女に頭をなでられるのは好きだが、今はまずい。見るもの触れるものがすべていかがわしい方向へとシフトしてしまいそうになる。琥一は不埒な思考を気合いとか鋼の理性とかそういったものを総動員させて、寝る姿勢を徹底させる。頼むから早く出かけるなりなんなりしてくれ! というこちらの心の叫びは当然聞こえるはずもない。
「コウちゃーん、お散歩いかないのー?」
何とも甘ったれた声を出す美奈子に、琥一は喉の奥で唸った。その間にも美奈子は琥一と一緒に寝るように、身体を床に倒したのがわかる。気配だけで先程より近い距離にいる美奈子を感じる。
「…コウ? うなされてる?」
いって、美奈子が顔を近づけているのがわかる。
ごくり。
自分の喉が鳴った音が、どこか他人事のように聞こえた。
「……美奈子」
「あれ、起きた?」
「オマエな…」
「なに? …わっ」
ぐいっと美奈子を抱き寄せ、そのまま彼女の上に乗り上げる。美奈子の両手をひとまとめにして頭上で纏めれば、何か言いかけた口を自分の口で塞いでやる。堅く引き結ぶ唇に無理矢理舌を差し込んで口を開かせようとする。美奈子の服の中へと無遠慮に手を突っ込んで胸を揉めば、美奈子は
「や、コウ!」
「ばか、遅えよ」
素早く囁いて、琥一は美奈子の唇に自分のそれを押し付けた。
[3回]
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