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イチジ九

すべからくどうしようもない日常のあれこれ。 ネタバレ盛り沢山ですので注意!

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GS3小話

ちょっとした出来心です。

シンデレラのパロっぽいですが全体的にぐだぐだです。注意。


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 昔々あるところに、シンデレラと呼ばれる少女がいました。
 彼女は優しい両親に育てられ、とても幸せに暮らしていたのですが、ある日母親が病でこの世を去ってしまいました。
 ところが母親を亡くしたことで悲しみにくれていたのも束の間、父親が再婚をするといって新しい母親になる女性を連れてきました。その女性には二人の娘がおり、彼女たちはシンデレラの義理の姉となりました。
 シンデレラは戸惑いを覚えつつも父親の幸せも考えて、新しい家族と向き合うように涙を拭いました。泣いてばかりでは、亡くなった母親に心配を掛けてしまう。そう思ったシンデレラでしたが、それから数ヶ月と経たない間に父親までもが病で倒れ、この世を去ってしまいました。取り残されたのは継母と義理の姉二人だけ。
 すると父親が亡くなった途端、彼女たちは手のひらを返したかのようにシンデレラに辛く当たるようになりました。

「て、ちょっとタンマ」
「なんすか、ルカさん」
「コウが継母でこわいのはいいとして、俺が意地悪の姉って大問題。ヒーローなのに」
「ちょっと待てこら」
「コウのその顔なら、性格の悪い母親でいけるから安心しろよ」
「上等だ、表出ろ」
「受けてやるよ」
「いやいやいや、落ち着いてください。ルカさん、コーイチさん!」
「てめえはすっこんでろ」
「そうそう、これは兄弟の問題だ」
「だから今はシンデレラだから母親と姉の問題ですって」
「そのことで決着着けるんだよ」
「どっちかっていうと、俺も意地悪の姉役2なのも納得いかないんすけど。年下なのに」
「だろ? じゃあさ、王子を倒したやつが王子になれるってことで、どう?」
「悪かねえな」
「悪いっすよ!」

 両親を亡くし、シンデレラはまるで召使のような生活を送っていました。今まで着ていた服は取り上げられ、代わりに使い古したボロを与えられました。私室も狭くて隙間風が通る物置部屋に移されてしまい、寒い冬には寒さで凍えそうになりました。
 ある日、王子様が国を挙げての王妃候補を探す舞踏会が開かれるとの御触れが回りました。
 当然国中の女性が色めきだって騒ぎ始めます。
 自分こそが王子の心を射止めるのだと、きらびやかなドレスとメイクで身を包みます。当然それには義理の姉二人も参加するのを横目で見つめながら、シンデレラは自身のボロ布の服にため息を零します。
 自分だって舞踏会に参加したい。
 そう思ってはいても、舞踏会に着ていくドレスも、靴もなにも彼女にはありません。シンデレラは物置の部屋に篭り、声を殺して泣きました。すると、

「かわいそうなシンデレラ。僕が助けてあげましょう」

 そういって現れたのは、真っ黒なローブに身を包んだ眼鏡の魔法使いでした。

「眼鏡は強調するポイントなのかな」

 文字だけだとポイントを入れないと伝わりませんからね。

「……」

 突然現れた魔法使いにシンデレラは驚いて、思わず泣きやみます。そんなシンデレラに魔法使いは優しく微笑みました。

「きらびやかなドレスと、ガラスの靴。そして舞踏会までいく馬車を用意しよう」

 魔法使いが杖を一振りすると、シンデレラのボロの服は見たこともない素敵なドレスへと変わり、はだしの足にはガラスの靴が輝きます。そしてもう一度魔法使いが杖を振ったところで、部屋の隅に置かれたカボチャが馬車になり、ねずみが従者に姿を変えました。

「押忍、行くぞ」

 ねずみの従者は恭しく一礼し、シンデレラの手を取ります。そうしてカボチャの馬車に乗せられたシンデレラは、舞踏会の行われているお城へと向かいました。
 お城に到着すると、そこにはたくさんの人が溢れかえってきました。王子の妃になれずとも、一目その姿を見ようと会場が浮き足だっています。
 そして、シンデレラもその人波の中へ向かおうとしたとき、ファンファーレが高らかに響きました。王子様の登場です。

「…うわあ、王子ってセージ先輩っすか。まあここまでの流れからいったら残る選択肢はセージ先輩だけっすけど」
「なんだ、セイちゃんか」
「セイちゃんなら問題ねえな」
「だな」
「大アリだ。なんだおまえらでばってくるな」
「セイちゃんよ、ちょっと俺らとお話しようぜ」
「話すことなんかない」
「セイちゃんセイちゃん、俺が代わりに王子様やるから、セイちゃんは意地悪な姉役やってよ」
「はあ? なんで代わらないといけないんだ」
「代わって欲しいから」
「…おまえな」
「いいから脱がすぞ、ルカ」
「ラジャー」
「ばかか、おまえたちは!」

 シンデレラが見ている中、王子の前に姉たちが進みでました。それに続くかのようにその他の女性も王子様へ話しかけます。あっという間に見えなくなってしまった王子様の姿にシンデレラは自分の足元を見つめました。きらびやかなドレスの裾からは、ガラスの靴が煌いています。

「お嬢さん、お一人ですか?」

 そんなシンデレラに、一人の若者が話しかけました。その後ろでは「キャー! カレン様―!!」と黄色い歓声が上がります。補足です。

「王子の友人として今日は招かれたのですが、まさかあなたのような美しい人に出会えるとは。良かったら私と踊ってくれませんか」
「待って」

 長身の若者がシンデレラの手を取り恭しく口付けようとしたその時、別の声が割って入りました。その声の方に振り向くと、先ほどの魔法使いとは違うローブを着た魔女が杖を構えていました。

「シンデレラは渡さない」
「それは…挑戦と受け取っていいのかな?」
「望むところ」

 両者、睨み合います。
 遠くで王子様の悲鳴的な声が聞こえないわけでもないのですが、この一触即発の雰囲気に飲まれて聞こえないことにします。
 若者と魔女の二人をシンデレラは見つめ、そしてやっぱり依然として騒がしい王子の方にも視線を向けます。
 そして、カツン、とガラスの靴の踵を響かせ、前に進み出ました。その音は舞踏会場に響き渡り、その場にいた全員の視線を集めます。
 シンデレラはすっと息を吸いました。

「もう!」

 腰に手をあて、シンデレラが一喝します。会場はしんと静まり返り、王子の悲鳴も止みました。

「皆ケンカしちゃだめでしょ! 特に琉夏くんとコウくん!」
「んだよ」
「はーい」
「設楽先輩に迷惑掛けないの!」
「だってセイちゃんが」
「俺は何もしてないだろ!?」
「設楽を王子にしたのがそもそもの間違いかもしれないな」
「…紺野おまえ、どこから出てきた」
「というか、このメンバーでシンデレラやるのが無理なんすよ」
「そうか? 俺はメシ食えるからいいけど」
「嵐さん…」
「ということで」

 ぱん、と場を取り仕切るように、若者改めカレンが手を打ちました。

「やっぱりバンビは私たちキューティー3のものってことで!」
「それが最良の選択」
「え、ちょ、カレンさんにみよちゃん!?」
「ちゃんって呼ばないで」

 ぴしゃり、みよが突っ込みをいれたところで12時の鐘が鳴りました。リンゴーンリンゴーン。
 シンデレラはきらびやかなドレスからいつものボロに戻り、その右手をカレンが、左手をみよが握りました。

「どこかで買い物して、お茶しよう」
「賛成」

 そうしてあっという間に去っていく三人の姿を止められるものは、誰もいませんでした。



 このあとシンデレラ奪還作戦が行われるのは、また別の話。


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どうしてこうなった。

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