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イチジ九

すべからくどうしようもない日常のあれこれ。 ネタバレ盛り沢山ですので注意!

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ゆきだー

朝目が覚めて、窓の外を見て絶望した私です。こんばんは。
どうみても雪です、本当にありがとうございます!となっていつもより30分以上早く出勤したのですが、家を出たら第二の絶望が待ち構えていました・・・外で見るより積もってるぜこれ・・・と雪の部分を踏みしめてその現実に叩きのめされました。これは子供時代だったらきゃっきゃうふふと遊び倒すレベルくらい積もってる!しかし大人になった今となっては忌まわしき産物でしかないという。くそう。こんな日は仕事など行かず一日引きこもってゲームでもしていたい。
会社に行ったら行ったでこんな日に限って社用車で外出しなければならない恐怖!こわい!自分以外の車こわい!


とりあえず今日一日雪の日に登校途中で佐伯と遭遇し、そんな佐伯に声を掛けながら駆け寄って滑って転んで佐伯につっこんでゆきくデイジーを想像して事なきを得ました。この条件のときは事故ちゅー済で頼む。おまえまた二の舞踏む気かよ!っていう佐伯がいい。
そんな妄想をちょろっと書き殴っておきます。



------------------

 白い。寒い。
 辺り一面の景色を見て、思うのはこの二つだ。と思った矢先、誰も踏んでいない真っ白に雪が積もった場所を見つけて、あかりは思わず駆け寄ってローファーの靴で踏みつけた。さく、という雪独特の感触に思わずにんまり笑ってしまう。白い、寒いに引き続き、楽しい、が追加された。うん、楽しい。
 さくさくさく、としばらく雪の感触を堪能したあと、あかりははっと我に返る。左手に巻いた腕時計が差し示す時間を見て、気を急ぐ。いつもならば十分間に合う時間ではあるけれど、今日は何しろこの雪模様だ。早めに家を出たといっても何が起こるかわからないのがこの天気の悩ませ所。ほんの少し早く、でも慎重に歩みを進める。
「あ」
 黙々としばらく歩き続けていくと、ふいに視線の先に見慣れた背中を発見した。寒さのせいか、ほんの少しだけ背中を丸めているように見えた。あかりはその背に向かって、一歩大きく踏み込む、そして、相手の名前を呼ぶ。
「瑛くーん!」
「…あ?」
 不機嫌に振り返った彼の顔の鼻の頭が、ほんのりと赤い。あかりはいつもの調子で駆け寄ろうと、数歩進んだところでずるっとローファーの靴底が滑った。うわ、と短く悲鳴を上げる。体勢は前のめりになり、そのままたたらを踏むように前に進む。
「わ、わあ!」
「ば!」
 どん、と身体が受け止められるように何かにぶつかる。否、受け止められるようというか、実際受け止められていた。当然それをしているのは、佐伯以外に他ならない。まるで抱きしめられているような体勢になっているが、あかりがそれに気が付いて顔を赤らめたりなんなりする前に、彼女を受け止めた相手の罵声の方が早かった。
「この……バカ!」
「いたい!」
 ばし! と強烈なチョップまでお見舞いされてしまい、あかりは痛みの方に気を取られた。その隙にさり気なく佐伯が距離を取ったことには気が付かない。そうして、さっきまで鼻の頭だけが赤かったはずなのに、それが全体に広がっているということにも、当然のように気が付かない。
「おまえはまたこの前と同じことする気か!」
「え? この前?」
「……いや、違う。俺はもう忘れたし…ってだからそうじゃなくて!」
「佐伯くーん! おはよー!」
 いつもの口喧嘩に発展しかかったところへ、いつもの佐伯の取り巻きである女子たちの声が背後から飛んできた。その声を聞いた途端、彼の顔が引きつって固まる。が、深く息を吸い込んで、ふっと吐き出したのと同時に「はね学のプリンス」の顔になった。
「やあ、おはよう」
 営業スマイルを貼り付けて、佐伯は爽やかに笑う。だが、あかりの元から去り際、「ドジ」とぼそりと言いつつもしっかりとくぎを刺したのであった。

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