年下でも兄貴なコウちゃんが好きです……
各一人ずつ年上バンビネタ書きたいんですが、嵐さんが思い浮かばない!困った!
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「あ、コウちゃん」
ふいに呼び止められて声の方へ振り返れば、そこには見慣れた顔の幼馴染が両手に大荷物を持っている姿があった。思わず怪訝な表情を浮かべて彼女が到着するまで立ち止まると、相手は小走りで琥一の元に駆け寄ってくる。その動きがどこか小動物を彷彿とさせ、彼女が一つ年上どころかむしろ年下なんじゃないかと思ってしまう。身長も頭ひとつ分くらいの差ができてしまった今では、余計にそう思う。
けれどこの姉気取りの幼馴染は今日も相変わらず能天気な笑顔を振りまき、近隣の不良からは桜井兄弟と恐れられている彼の隣へあっさりと並ぶのである。
「何やってんだ」
「買い物。今日セールだったから、つい」
「だからって買い過ぎだろ」
「やっぱりそう思う?」
両手にぶら下げられたショップ袋を一瞥し、ため息を吐く琥一の言葉に苦笑をする美奈子。よいしょ、と抱え直せば肩に引っ掛けておいた鞄がずり落ちた。荷物に振り回されながらも何とか体勢を立て直そうとする姿に本日二度目のため息を吐いた琥一は、片方の手の荷物を半ば奪い去るように引っ張った。しかしついでに美奈子自身も引っ張ってしまうと、うわわと足踏みする彼女を睨むように見て、言う。
「おら、貸せ」
「え?」
「荷物、寄越せっつってんだ。どうせ帰る方向一緒なんだからよ」
ぶっきらぼうに言い捨てて、琥一は彼女の手から引き剥がすように荷物を抱える。そうしてスタスタと先を歩き始めれば、その後ろをやっぱり小動物のように美奈子が追いかけてくる。荷物を持っていない方の腕に無邪気に腕を絡めてきて、顰め面のままの琥一を見上げる。
「さっすが男の子!」
「ウルセー」
姉が弟を褒めるような口ぶりのそれを一蹴すると、お決まりの「もう!」が飛んできた。琥一は適当にそれを受け流し、胸中では本日三度目のため息を吐いたのだった。
[5回]
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