悶々と葛藤するアニキがいとしい。笑
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肩に掛かる重みへ視線を向けて、琥一はため息を吐く。今はWestBeachの琥一の部屋にいるのだが、どうしてこの幼馴染は無防備に寝てしまえるのかと考えれば、ため息の一つも吐きたくなるというものだ。
今日の予定は、彼が手に入れた新しいレコードを聴く予定だった。それは先ほどまで実行されていたのが、気がつけば彼女が船を漕いで寝てしまったのが今現在だ。あどけない寝顔を一瞥し、そしてすぐに視線を逸らす。身長の低い彼女と並べば、当然座っていてもその差は変わらない。むしろ寄りかかれていることにより更に距離は狭まり、見てはいけないものまで見えてしまうのだ。ーー例えば、開いた胸元から覗く女性特有の膨らみとか。
(何で今日に限ってこんな服着てやがんだ!)
しかも下着のレースまでちらりと見えているから困りもの。意識して見ないように努めていてもそこはそれ、悲しいかな男のサガはDNAとうい名の本能に組み込まれているらしい。吸い寄せられるように彼女(の胸元)へ視線を向け、その度に我に返って逸らすの繰り返しを琥一は繰り返していた。もはや拷問である。
できることならばこのまま押し倒してしまいたい衝動が駆け巡るがそこはそれ。彼女に対する幼馴染やら兄やら果ては父親としてのさまざまなプライドがぎりぎりで琥一の理性を繋いでいた。しかしそれもごくごく細いヒモでしかなくて、いつ切れておかしくないほどに擦り減っている。ほんの些細なきっかけがあればプツンといってしまいそうだというのに、当然そんなことを知る由もない彼女はのんきに寝こけているのだからタチが悪いにもほどがある。
(クソ)
内心でのみ毒づいたそれは果たして何に対してか、琥一自身にもわからない。
そんな彼が唯一できることは一分でも、一秒でも早く彼女が目を覚ましてくれと祈るだけだった。
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