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イチジ九

すべからくどうしようもない日常のあれこれ。 ネタバレ盛り沢山ですので注意!

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若葉小話(少女革命ウテナ)

奈津美の話を書こうとしたんですが、やっぱり私の中で川上さんはウテナでした。
アンシーとウテナの王子と姫の関係も好きですが、若葉とウテナの友情関係も大好きです。
女子の制服を着てきたウテナに「あんたの普通はそんなんじゃないでしょ!もっとかっこいいはずでしょ!それと、その制服全然似合ってない!」とウテナを怒った若葉は本当にいい友達だと思います。
なんか色々ウテナを思い出してきたら涙腺が緩みそうで困る。やっぱりDVDBOX買うべきかな…上下巻で5万とか思い切った買い物だけど、あの作品はやっぱり大好きだ。黒薔薇編とか色々おいしすぎるわ。栞とか若葉とかの活躍っぷりが堪らない話だった…あと制服かっこよすぎる…そして緑川ほいほいな私でした。


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「ていやー!」
「…若葉」
「ウテナ捕獲ー!」
「一体何のつもり?」
「やだ、ちょっとしたスキンシップじゃない」
「その割には何か色々とさ」
「色々と?」
「…いや」
「何よ」
「何でもない。…それより、そろそろ僕の背中から降りない?」
「もうちょっといいじゃない」
「良くないよ」
「だあってー、最近のウテナってはちっともかまってくれないんだもん」
「そんなことないだろ」
「あるわよ。姫宮アンシーとばっかりいちゃいちゃして」
「いちゃいちゃって…僕はそんなつもりじゃないんだけど」
「ウテナがそう思ってないだけで、周囲にはそう見えています」
「そうなの?」
「そうなの! そういうわけで、今日はあたしといちゃいちゃしよう!」
「なんか語弊があるんだけど」
「細かいことは気にしなーい!」
「はいはい。…で、何をするんだい?」
「うっふふー! 学校が終わったらお茶してー、買い物してー、カラオケボックスにいくのもいいわよね!」
「そんなに予定詰め込んで、寮の門限に間に合うの」
「もう、夢がない!」
「僕は現実主義者なんだよ」
「…別に、ウテナと一緒にいられたら何でもいいんだけど」
「若葉?」
「……だって、本当に最近は姫宮アンシーとばっかり一緒にいるんだもん」
「……若葉」
「なんて、ね! ちょっとヤキモチ妬いちゃっただけ!」
「なあ、若葉」
「なあに?」
「今度の日曜日、暇?」
「え?」
「デートしようか。日曜日なら、長い時間一緒にいられるし」
「……うん!」
「あ、でも、僕歌はあんまり得意じゃないから、勘弁してくれると嬉しいんだけど」
「もうなんでもいいよ! ウテナとのデート、超楽しみにしてる!」
「僕も楽しみにしてるよ」

-------------
ただのバカップルじゃないか。




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(最終回後)

 違和感。
 篠原若葉が唐突に感じていたのはそれだった。
 いつも通りに寮の一室で目を覚まし、いつも通りに朝食を摂り、いつも通りの通学路を経て学園に登校する。そうして顔なじみのクラスメイトへ挨拶を交わしながら、自分の席に着いた。――そこまでは、いつも通りだった。
 睡魔と戦いながらの一限目の授業内容を聞き流しながら、つと、誰もいない席へと視線を向ける。その席は、このクラスになってからずっと置いてあるだけの空白の席だ。特に何かあるわけでもなく、ただ単に余っているという理由だけでそこにあった。誰も使う人がいないのならば片付ければいいのに、とクラスメイトの誰もが思っていることだし、若葉自身もそう思う。掃除の度に誰かが机を動かす手間を割くたび、その愚痴は口をついて出るのだ。邪魔だよね。使わない教室に置けばいいのに。そんな言葉たちを反芻して、若葉再び違和感が胸を過ぎった。
(…なんだろう)
 違和感を感じつつも、その正体は掴めない。ただ、誰も座っていない席に対して、心臓がひどく切なく締め付けられていく。
 唇が無意識に動くのがわかって、若葉は自分の口元に手を添える。板書の途中で止まったノートへと視線を落とし、けれど焦点はまったく別のところへとあてていた。
 違和感。
 繰り返されるのはその単語だけ。
 何か、大事なことを忘れている気がする。それはまるで、さっきまで鮮明に見ていた夢が、目が覚めた途端に忘れてしまう感覚に似ている。掴めそうで掴めない、そんな曖昧な記憶へと手を伸ばす。
 けれど若葉がいくら手を伸ばしたところで、その手は、指先ですら触れることができない。
 触れたくて思い出したくて仕方がないのに、わからない。そもそも何を思いだそうとしているのかすら判別がつない曖昧なものを、どうしようというのか。若葉はこめかみを押さえて眉間にシワを寄せる。完全に考え込む体勢に入ろうとしたところで、授業終了のチャイムが鳴り響いた。途端、一気にざわつく教室内に併せて、若葉の思考も霧散する。次なる授業は体育のため、クラスメイトの何人かに名前を呼ばれて立ち上がる。そうしてその空席の後ろを通り過ぎようとして、足を止めた。振り返る。
「……」
 じっと誰も座っていない席を見つめてみても、当然そこには誰もいない。けれど若葉の口元がもう一度無意識に開き掛けたところへ、再びクラスメイトに呼ばれて我に返った。
「着替え、行くよー?」
「あ、うん! すぐ行くから待って!」
 そう叫び返して、今度こそ若葉はその場から立ち去った。
「……ウテナ」
 去り際。
 自分が呟いた言葉に、若葉自身が気が付くことはなかった。

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